コーヒー ページ20
泣き腫らした顔を見られないように、
帰りは終始俯いたままだった。
体調不良の乃愛は先に帰っているということだったので、
一人で家に帰った。
そして、家に入ろうとして立ち止まる。
＿＿今の私には、兄さんとの思い出が詰まったこの家に入る勇気がなかった。
兄さんを怒らせてしまった。
なのに何もなかったみたいに家で過ごすなんて、私にはできなかったのだ。
家に入ろうと何度も試みたが、
ドアノブからドロドロとしたものが手に纏わりつくような嫌悪感を感じて。
何も出来ず、ずるずると玄関前に座り込んだ。
貴「(家、入りたくない…
でも帰らなきゃ、父さんと母さんに迷惑かける…)」
でも家には入れない、両親に迷惑をかける。
しばらくそれを繰り返し、私は深く溜息をついた。
涙が伝った後の頬は、ピリピリと乾燥して痛い。
それを隠すように膝を抱えて顔を埋めると、
何処からかコーヒーの香りがしてきた。
大方、母が父のためにコーヒーを淹れているのだろう。
それはいつも通りのこと。
特に気にもしない、一日の一コマ。
でもその香りが鼻孔を掠めた瞬間、
私は弾かれたように立ち上がった。
今の私には、それだけが救いだった。
貴「(迷惑だって分かってる。
でも、どうしても会いたい…)」
家の中にいる母にメッセージを送り、
荷物を持って走り出す。
貴「(迷惑がられたら、諦めて帰ろう。
でも、もしも…少しでも私を受け入れてくれるなら…)」
場所はぼんやりとしか覚えていなかったけれど、
私は微かな記憶だけを頼りに只管走った。
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帝 - 27ページに過呼吸とありますが、過呼吸と言うのは呼吸のしすぎで、呼吸不足とは違います。こんなコメントからでごめんなさい。とても面白いです！ (2019年6月28日 21時) (
レス) id: 3e076c2094 (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - ミコトさん» お気に入りと言って頂けてとても嬉しいです！！更新出来ない日が多々ですが、気長に待って頂けると嬉しいです(*´∀｀) (2019年3月8日 23時) (レス) id: bea7ebdcd5 (このIDを非表示/違反報告)
ミコト(プロフ) - 読んでいてドキドキします！お気に入りの話です!!続き、楽しみにしてます！頑張ってください^ - ^ (2019年2月26日 23時) (レス) id: 47f303260b (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - 美冬さん» コメントありがとうございます！いやいや、ハマったと言って頂けるだけて嬉しいですよ(*´`*)更新ペースは遅いですが、応援を糧に頑張りたいと思います♪ (2019年1月27日 22時) (レス) id: 9bf512996a (このIDを非表示/違反報告)
美冬 - とても面白いです！最近ハマったばかりのにわかですが、楽しく読ませてもらっています！これからも頑張ってください！ (2019年1月18日 21時) (レス) id: efbc55a2af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/itikara1141/
作成日時：2019年1月16日 0時
