埋もれる涙 ページ19
貴「離して」
私がぼそりと呟くと、
海斗はゆっくり掴んだ腕を下ろした。
海斗の動揺が見なくても伝わって来て、
申し訳ない気持ちにさせられた。
海「…この爪痕、いつ作った」
貴「言ったら一人にしてくれるの」
海「集合かかってんだよ」
貴「先に帰ったって言っといてよ」
いつまでも顔を伏せ、棒読みな私に苛立ったのだろう。
少し口調を強めにして、海斗は私に言った。
海「じゃあAはここで泣いてろ。
マサさんにお前がここにいるって言っとくからな」
貴「それは…っ！」
雅貴さんにだけは言わないで、と思って顔を上げる。
その頬を海斗の左手が包んだ。
私の顔を見るためのデマだったと悟り、
海斗の勝ち誇った表情に腹が立った。
海「明日、目ぇ腫れるぞ」
貴「そんなの知らない、離してよ」
海「泣くなら分かる所で泣けよな」
私の頬からパッと手を離し、
そのまま腕を引いて自分の足の間へと導いた。
私の後頭部に手を置き、肩で泣く様に促す。
空いている手は私を逃がさないように、
背中に回っている。
その手がゆっくりと背中を撫で始めた。
貴「…ジャージ汚れるよ」
海「そう思うんだったら早く泣き止め」
貴「…できないって、わかってるクセに」
海斗の足の間に倒れ込んでいる状態では、
人の体温というものを大きく感じられて。
それが余計に私の涙腺を刺激して、
またボロボロと泣き出しながら、右手だけで海斗の背中に縋りついた。
私が泣き止む頃には、静弥の声が遠くから聞こえてきていて。
ゆっくりと海斗から離れると、
私の顔を見て「目元真っ赤だな」と笑った。
いつもなら反論を口にする所だけど、
弱みを見せてしまった手前、何も言えなかった。
海斗はただ、私の背を撫でてくれていた。
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帝 - 27ページに過呼吸とありますが、過呼吸と言うのは呼吸のしすぎで、呼吸不足とは違います。こんなコメントからでごめんなさい。とても面白いです！ (2019年6月28日 21時) (
レス) id: 3e076c2094 (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - ミコトさん» お気に入りと言って頂けてとても嬉しいです！！更新出来ない日が多々ですが、気長に待って頂けると嬉しいです(*´∀｀) (2019年3月8日 23時) (レス) id: bea7ebdcd5 (このIDを非表示/違反報告)
ミコト(プロフ) - 読んでいてドキドキします！お気に入りの話です!!続き、楽しみにしてます！頑張ってください^ - ^ (2019年2月26日 23時) (レス) id: 47f303260b (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - 美冬さん» コメントありがとうございます！いやいや、ハマったと言って頂けるだけて嬉しいですよ(*´`*)更新ペースは遅いですが、応援を糧に頑張りたいと思います♪ (2019年1月27日 22時) (レス) id: 9bf512996a (このIDを非表示/違反報告)
美冬 - とても面白いです！最近ハマったばかりのにわかですが、楽しく読ませてもらっています！これからも頑張ってください！ (2019年1月18日 21時) (レス) id: efbc55a2af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/itikara1141/
作成日時：2019年1月16日 0時
