63.計算？ ページ33
「オーストラリアには行ってない。
本当は俺が何とかしたかったけど。
双子の弟だってばれたら、絶対に警戒されて無理だし」
「じゃあ、翔が全部考えたことなの？
二宮さんにお願いしたってこと？」
「いや、俺はニノにそれとなく匂わせただけだよ？
俺の大事な双子の姉がやっかいな恋愛してんだよねーって」
二宮さんがため息をつく。
「それも計算でしょうよ」
「まあな。ニノに最初からあれこれお願いしても？めんどくさいからパスって言われたらおしまいだから」
「匂わせて、Aに会わせて。
俺がAを気に入って、どんなやっかいな恋愛してんの？って聞くように仕向けた」
「ニノがAを気に入らなかったら、アウトだったな」
それまで黙っていた松本さんが口を開いた。
「……双子の弟？
Aの彼氏じゃない？」
「おっと。先日はすっかり誤解させてしまったようで申し訳ありませんでした。
私、櫻井翔と申しまして、Aは双子の姉です」
「でも、あの時。
どう見ても恋人同士に見えた」
「あの時は、止むに止まれぬ事情があり、恋人のフリをしてもらったんです」
美波さんが泣きそうな顔で、懇願するように言った。
「私、もう行ってもいいですか？
櫻井さんにこの間言った言葉は取り消します。
二度とあんなこと言いませんから」
翔がドアを開けると、美波さんは飛び出して行った。
「頭よしよしってして、あなたも辛かったんだよね、って言ってきますかね。
逆上しないように」
二宮さんが、美波さんの後を追って会議室を出て行こうとして、振り向いた。
「翔さん、おっきな貸し作ったかんね」
「はいはい」
三人になった会議室で、翔は、ふう、と息を吐くと、小さく笑った。
「すげえできるやつ送り込むって言っただろ？」
「言ったけど。
仕事のことだって思うじゃない……」
さて、と翔が伸びをした。
「おせっかいだとか、やりすぎだとか文句は後で聞く」
「そんなこと、思ってないよ……」
「礼も後で聞く。
お前にはまだ大事なことが残ってんだろ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1316人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：つむ
| 作者ホームページ：
作成日時：2015年3月22日 18時
