62.確信犯 ページ32
状況がよく飲み込めないまま会議室に入ると、二宮さんが振り返った。
「早く入ってください、美波さん」
驚いて視線を向けると、下を向いた美波さんが歩いて来た。
4人で会議室で向かい合う。
「えーと、単刀直入に言いますと。Aは」
「名前で呼ぶな」
松本さんが口をはさむと、二宮さんは、ごほん、と咳払いをした。
「……櫻井さんは。美波さんに言われてたの。
松本さんに気持ちを伝えるなって。
松本さんの気持ちにも応えるなって。
もしそうなれば、会社に松本さんとの関係をばらすって」
松本さんのくっきりした二重の瞳が、見開かれた。
「美波が？なんで……」
美波さんが消え入りそうな声で言った。
「潤との別れがどうしても受け入れられなかったの……」
「そうだよね、あなたも辛かったよね。
でもさ、やり方がちょっとずるいよね？
それに……俺の誘いにホイホイのったのはまずかったよねー」
「え？誘い？って二宮さん？」
「おっと。何もしてないよ。楽しくご飯食べてて。
ちょっと勢いあまって口説いちゃったらね？
あっさり、うん、って言うからさ」
美波さんは気まずそうに黙っている。
「本当に何もしてませんよ。
どんな返事するかなって興味本位？」
嘘だ。
絶対確信犯だ。
相葉さんが二宮さん見かけたって、美波さんを誘うため、だったんだろう。
「またそれがどうしたことか、スマホにばっちり録音されててね。
だから、美波さんにお伝えしに来たの」
でもなんでそんなことを二宮さんが？
二宮さんが可愛らしい顔で、にっこり笑う。
「もし不倫してたことをばらすって言うんなら、俺もこればらしちゃうよって。
聞いた人はどう思う？
ただの尻軽な女だって、一気に分が悪くなるよね」
「ちょっと……ちょっと待ってください。
二宮さんがそこまでしたのはどうしてですか？」
「俺がって言うよりは、翔さんが、ね」
二宮さんが、会議室のドアをガチャって開けると。
翔が立っていた。
「翔⁈なんで、ここに？
オーストラリアにいるんじゃなかったの？」
ますます、よくわからなくなった。
松本さんが、あ、と口を開いた。
そうだ、松本さんは翔が私の彼氏だと思ってるんだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1316人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：つむ
| 作者ホームページ：
作成日時：2015年3月22日 18時
