第941話 １日目。 ページ1
―――― ブーッブーッブーッ
たった今受信したさやかからのメール。
『今どこ！？どうしたの！？
もう始まっちゃうよ？(TT)』
そしてその続きには
「もう先に入ってるからね！」と…
A「……はぁ…」
チケットに記された時間と
腕時計を照らし合わせる。
"開場 17:30 開幕19:00"
A「……」
…もう帰ってしまおうか。
さやかには悪いけど
ライヴも本当に観たいけど…
まだ早い…心の準備が…
こんな人がたくさんいるところなんて
チャミペンならもしかしたら
私の事を知ってるかもしれないし
…チャミペンじゃなくても
トンペンなら知ってるかもしれない…
悪いファンばかりじゃないと
ちゃんとわかってるんだけど
もし知ってたら、また
ああゆう事が起こるかもしれない…
……でも…
A「…はぁ」
…あと１歩。
目の前には大きく白いドーム。
緑で"TOKYO DOME"の文字。
あと１歩踏み出せばいい。
何度、そう自分に言い聞かせても
その度に胸の鼓動が早くなるばかり。
私はサングラスを外し帽子を脱ぐと
胸を押さえて大きく息を吐いた。
"一緒に頑張ろ？"
"ファイティン！"
チャンミンとユチョンの声が
幻みたいに聞こえ
その笑顔が瞼の裏に浮かぶ。
A「……」
…あと10分。
今日は東方神起の"復活アジアツアー"。
その日本公演２日間のうちの、初日。
私は大きく息を吐くと
会場へと足を踏み入れた。
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A「…っ…(汗)」
今日も気温は高く、初夏の陽射しだった為
ドームの中は熱気で蒸し暑い。
それに加えて、クラクラしそうな程の
人の多さ、息苦しさ…
A「はぁ…(汗)」
私は係の人に案内されて
必死に後を追いかけながらも
やっとの事でアリーナ席入口に辿り着く。
今まで招待されてきたVIP待遇の席とは違い
ステージから少し遠いその席。
アリーナ席だけどステージの上からは
どんなに視力が良くても
私の顔は、多分見えないだろう。
…そんな事を思いながら歩いていると
「A！」と呼ばれた。
A「……？汗」
さやか「おーい！こっちこっち！！」
少しだけ背伸びをしながら
周りをきょろきょろと見渡す。
さやか「A！！」
声のした先を見ると
さやかが「遅い！」と手招きをしていた。
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作者名：natsu
| 作成日時：2012年4月28日 3時
