Begin...【changmin】第７章-Part２- (ページ19)

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第779話遠い過去。ページ19

コーヒーのおかわりを淹れに行こうと
iPodのイヤフォンを外すと
微かに鳥のさえずりが聞こえる。

時計を見ると朝の５時過ぎ。

私はテキストを閉じて
iPodと一緒にサイドテーブルに置き
冷たい空気に体を震わせながら
ベッドを抜け出す。

A「…まだ暗い。」

カーテンの隙間から窓の外を覗くと
東の空は少しだけ明るくて
西に向かって段々と暗くなっている。

寝室はこんなに寒いのに
外はもっと冷えてるのか
窓が結露している。

私はカーディガンを羽織り
マグカップを片手に

繰り返し聞いていたチャミからの
K-POPのCDのサビを鼻歌で歌いながら
リビングへと向かった。

｜
｜

ソファで熱いコーヒーを飲みながら
早朝のニュース番組を見てる。

『今日はクリスマスイヴ。
カップルで過ごされる方も
ご家族で過ごされる方も
お友達と過ごされる方も…』

A「……」

『みなさん素敵なイヴの為に
計画をされてるかと思いますが
イヴにかかせないものと言えば…』

A「プレゼント？」

『もちろん、ケーキですよね～！』

A「……(笑)」

"A！何もわかってないかぁ！"
"ケーキもいいけど、ご馳走ですよぉ！"
"欠かせないんじゃないでっすかぁ～！"

…そんなチャミの声が聞こえてきそう(笑)

私は"ここにチャンミンがいればなぁ～"
と、思いながらまた少し切なくなった。

『三ツ星有名シェフの
絶品ケーキもいいですけど
手作りケーキでクリスマスを過ごすのも
いいと思いませんか？』

A「……」

『今日は自宅でできる
簡単クリスマスケーキの作り方を
お教えしたいと思います！
材料はまず…』

食い入るようにテレビ画面を見つめ
レシピを紙に書き記していく私。

別にケーキを作る予定なんてないし
食べてくれる人なんていないけど。

いつかチャンミンとクリスマスを
過ごせる日が来たら作ってあげよう。

いつも有り合わせの材料で作った
夕飯や朝食ばかりだったけど

チャンミンも好きなケーキを
きっと美味しく作るから。

このソファから見ていてくれる？
…"Tea for two"みたいに。

大人しく待てるかな。

すぐ気になって
私の近くまで来ちゃうから…

私はこの部屋での２人の日々が
遠い過去のように感じて
ひとり胸を苦しくさせていた。