第746話 お開き。 ページ10
さやか「ん〜〜」
大きく伸びをしたあと
暑いのか顔をパタパタと手で扇ぐ。
A「そろそろ、お開きにしますか。」
「そうだね」と言いながら
腕時計を見たさやかは
「あ！」と何かを思い出したように
カバンの中をガサゴソし始めた。
さやか「メリークリスマス…イヴ(^^)笑」
笑顔で私にブランド物の箱を差し出す。
A「…え？」
さやか「受け取ってよぉ〜！Aじゃなくて、先輩に渡すはずだったやつなんだけどさ(笑)」
A「でも悪いよ…高かったんじゃないの？」
さやか「いや、もらって！笑 あげられなくて自分で使うなんて寂しすぎる！笑」
A「…ふふ(笑) わかった。ありがと(^^) 私何もプレゼント用意してないけど…」
さやか「いいのいいの(^^)」
プレゼントを受けとり
開けてみると中からは暖かそうな
カシミヤのマフラーと手袋のセット。
A「…確かに自分で使うのは切ないね(笑) メンズ物だし。」
さやか「でしょ？笑 Aも使わなかったら誰かにあげちゃっていいからね。」
そう言って笑うさやかの笑顔を見て
私は腕時計で時間を確認する。
A「またここでクリスマス迎えたなぁ(笑)」
さやか「前にもクリスマスに来たの？」
A「うん…チャンミンとね。」
さやか「へぇ〜…さぞかし幸せなクリスマスを過ごしたのでしょうね(笑)」
A「いやっ…」
さやか「違うの？笑」
A「…まぁまぁまぁ(笑)」
さやか「なに〜気になる(笑)」
A「まぁ〜その話はまたの機会に…(笑)」
さやか「(笑)」
今、あの時の話をしたら
私は泣いちゃうと思うから…
イヴにここでチャンミンに初めて会った。
初めてキスした。
そして離ればなれになった。
恋人達が溢れるイヴなのに
今年も私の隣にはチャンミンはいない。
このバーに来たら
また会いに来てくれるかなって
少しだけ期待してたのに…
明日も来たら会えるかな…
そんな事して会えなかったら
せっかく前向きになってきてる気持ちが
また落ち込んでしまうからやめよう。
私は残りのカクテルを飲み干すと
お会計を済ませて
千鳥足のさやかを連れてバーを出た。
フラフラと歩くさやかが心配で
駅前まで送ると
さやかは笑顔で手を振り
その背中を見送ると私は帰路についた。
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作者名：natsu
| 作成日時：2012年4月24日 3時
