第695話 サンタクロース。【CM Side】 ページ15
【CM Side】
[]は韓国語↓
もうすぐクリスマス。
キリスト教信者でもないのに
こうやって毎年盛り上がる世間。
街もイルミネーションでキラキラと輝いて
"クリスマス"の名前だけで
みんなが幸せそうな顔をしてる。
僕はもう24歳だし
今更ワクワクする事もないし
そんなの、子どもじみてると思う。
だけどすれ違う恋人達の
幸せそうに微笑み合う顔を見てると…
今、僕の横にAがいたら
きっと１週間後に迫るクリスマスを
子どもみたいに胸を踊らせて
楽しみにしていただろう。
そんなAの笑顔を思い浮かべて
自然と僕まで笑顔になってしまった。
｜
｜
僕は息も凍るほどの寒空の下
目的もなくただ歩いている。
CM[はぁ〜〜…]
変装するために
鼻の下まで巻いた長いマフラーに
更に顔を埋める。
もう知り合って３年経つけど
Aと一緒にクリスマスを過ごした事は
一度だってない。
唯一、あの一瞬会えた時だけ。
初めて会って
その時もAは泣いてて…
抱きしめたらもっと好きになって
思わずキスしちゃって…
……そして、関係を終わらせた日。
｜
｜
恋人にとってはもちろん
幸せであるはずのクリスマスは
僕達にとってはいい思い出はない。
ケーキを食べることもなければ
プレゼントを貰うこともなかった。
今年もそんな
寂しいクリスマスになってしまうね。
ごめんね、A…
CM[…ぁ…]
おもちゃ屋さんのディスプレイに並ぶ
サンタクロースの人形がふと視界に入る。
僕は立ち止まり、それをじっと見つめた。
CM[……]
僕がもしサンタクロースだったら
そりに100個のプレゼントをのせて
Aの所まで空を飛んで行くよ。
Aはどんなクリスマスがいいだろう。
Aは甘いものが好きだから
まずケーキは絶対。
僕も好きだから特大のやつね。
ツリーも大きいのを飾って
ごちそうも絶対だな。
プレゼントもかかせない。
「100個じゃ足りない！」って言うかな。
Aは欲張りだから…(笑)
それとも僕と同じで、また
「一緒にいれるだけでいいよ」って言う？
…もうそんな事、思わないかも。
僕は自分勝手でAを傷つけて
泣かせてばかりだから…
CM[…はぁー……]
僕はネガティブな気持ちを
振り払うかのように大きく息を吐くと
おもちゃ屋さんに足を踏み入れた。
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作者名：natsu
| 作成日時：2012年4月14日 23時
