Begin...【changmin】第６章-Part７- (ページ4)

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第664話嘘。ページ4

A「ごめんね、お父さん…急に帰ることになっちゃって。」

広いバスの中で
運転席のすぐ後ろに座って
父の顔を覗き込む私。

父はバックミラー越しに
チラッと私を見ると
また正面に視線を戻した。

A「ほらぁ、年末だから。旅行会社は今の時期忙しいの。猫の手も借りたいぐらいなんだって(笑)」

父「……」

A「…あぁ～あ…もうしばらく、ゆっくりできると思ってたのになぁ。急に仕事が入ると余計に働くのが嫌になっちゃう(笑)」

父「……」

相変わらず無口な父は
私の口から次々に出る嘘を
見抜いてるのか…

学生の頃は会話の弾まない父と
２人きりになる事が苦手だったけど

今は会話が続かなくても
一緒にいれるだけで
暖かさすら感じていた。

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駅につくと父は
ホームまで見送ると言ってくれたけど
私は「寂しくなるからいい」と断った。

バスを降りて父と正面から向き合うと
深くお辞儀をする。

A「…ありがとうお父さん。」

父「…なんだよ…かしこまって。」

A「…(笑) 言いたくなったから。」

…つらくて耐えられなかったら
また帰ってきてもいいかなぁ。

その時はいつもみたく何も言わずに
そばにいてくれるだけでいいから…

お父さんは雨に打たれる私に
「風邪引くから早く行きなさい」
と小さく言った。

私は泣きそうになるのを堪えて頷き
笑顔で「またね」と手を振った。

父に背中を向けると
思わず涙が溢れてきてしまって
私は雨を避ける振りをして走り出した。

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窓の外に早いスピードで駆け抜ける景色を
何も考えずにただ見つめている。

濡れた髪や服が冷たくて身震いする私は
電車に乗り込む前に買った
マックスコーヒーをポケットから出した。

A「……」

…あのドームライヴの日。

ユチョンの気持ちに動揺して
雪の降る中、家を飛び出した私を
迎えに来てくれたチャンミン。

指先がかじかんだ私のために
マックスコーヒーを開けて
私に差し出してくれた。

あの時、コーヒーの温もりよりも
繋いだ手から伝わる

チャンミンの温もりの方があたたかくて
私の心にじんわり染み込んでいった。

あの時の私達はどこへ行ったの？

この冷たくなった手を
今すぐに繋いでほしいよ…

私はコーヒーを飲むことができずに
両手で握りしめながら
ただチャンミンの温もりを想っていた。