第570話 発見。 ページ10
父の部屋を目指して廊下を進む私。
実はチャンミンに着物姿を見せたくて
普段着ない着物を母に着付けてもらった。
だけど着慣れないからすごく動きにくい。
私は狭い歩幅で
ちょこちょこと小走りをして
父の部屋に続く廊下を曲がった。
A「あっ！」
思わず声が出そうになるのを
手で口を押さえて堪える。
…チャンミンの背中を発見。
お父さんの部屋の前にいるって事は
もう話し終わったのかなぁ。
私は１人できょろきょろしたり
うろうろしているチャンミンを
曲がり角に隠れてじっと見つめていた。
A「……？」
チャンミン、何してるんだろ…
そっちは厨房だよ？
チャンミンは厨房の前をうろちょろして
のれんの下から覗いたり。
お腹空いたの？
もうすぐご飯だから我慢して？笑
私はチャンミンの行動が可愛くて
「今日のご飯はなっにかなぁ〜」とか
「ん？いい匂いがするなぁ〜」とか
心の声を呟きながら見守っていた。
するとチャンミンの正面に父の姿が。
私はいよいよの瞬間を
息を飲んで見つめる。
A「……？」
何故か和やかな雰囲気。
父も笑顔だし…
だけどそう思っていたのも束の間。
父の顔色が変わり
チャンミンが勢いよく頭を下げた。
CM「僕のせいでAさんにケガをさせちゃって、本当にごめんなさい！」
A「―――…」
廊下に響くチャンミンの声。
チャンミンはしっかり、はっきり
父に向かって謝っていた。
私はチャンミンの声と姿から
思わず胸が苦しくなり涙が込み上げ
見てられなくて目を反らした。
私と会わない間、連絡しない間…
チャンミンは１人でこんな風に
父に謝りたくて自分を責めて
苦しんでいたんだ。
そしてこの言葉をちゃんと伝えようと
ずっと胸に溜めていた。
なのに私はチャンミンの「会いたい」に
勝手な理由で断ってしまって
手紙で気持ちを伝えたことにして…
チャンミンを１番近くで支えようと
もう何度も誓ってきたのに。
私は涙を拭いてもう一度
チャンミンの姿に視線を向けた。
A「！！！汗」
チャンミンは父の部屋に
おでこをピッタリくっつけて立っていた。
まさか……"ダメ"？
ユチョンの"ダメ"を頭の中で考えていると
父が部屋から出てきてチャンミンに
タオルを渡し、２人で歩いていく。
…お父さん…そっちは…(汗)
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作者名：natsu
| 作成日時：2012年3月30日 19時
