Begin...【changmin】第６章-Part２- (ページ12)

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第572話「お父さん」。【CM Side】ページ12

【CM Side】

温泉に浸かるお父さんに近づき
「失礼します」と礼をすると
そっとつま先を入れる。

CM「うぉっ…(汗)」

冷たくなった体には熱すぎる。

僕は一度足を引っ込めると
ゆっくり、今度はちゃんと肩まで
熱い温泉の中に体を沈めた。

CM「うぉぁ～…」

あ…つい声が(笑)

僕は恥ずかしくて
お湯で顔を洗ってごまかした。

隣にいるお父さんと
どれぐらいの距離感で入ったらいいのか
わからなくて、横目で見ながら
とりあえず少し近寄った。

父「……」

CM「……」

…僕はあまりお風呂は好きじゃない。

それに短気だし汗っかきだから
露天風呂に長く浸かってられるとか
そんな自信もない。

…何か、早く話さないと…

父「いい体してるなぁ」

CM「はいっ！？」

突然のお父さんの言葉に驚き
思わず僕の声は裏返って
ボリュームも大きい。

僕は「あぁー…」と言いながら
肘を曲げて二の腕の筋肉を出して見せる。

CM「鍛えてます…ダンスーをする仕事だっからー、体力ーもつっけなきゃいけないしぃ…」

お父さんは「ふぅーん」と頷く。

今までは"運転手さん"として話してたのに
急に"Aのお父さん"って意識すると
何を話していいかわからない…

だけど、"お父さん"との
ちゃんとした会話は今のが初めてかも…

僕は少し勇気を出して
話しかけてみることにした。

CM「あぁー…お父さんはぁ……あっ！！汗」

父「……？」

ヤバイ…(汗)

CM「すいません…僕、今、"お父さん"って…(汗)」

父「……あぁ」

CM「僕のお父さんじゃないのに…(汗)」

父「別に気にする事じゃないよ。」

CM「…"お父さん"って呼んでもぉー…いいですか？」

少し照れたように頷くお父さん。
僕はほっとして、やっと少し笑えた。

CM「よっかったです…」

父「……」

CM「ぼっくぅ、日本語の勉強でぇ、日本のドラマーを見てたとっきにー、同じシチュエーションで同じ言葉を言った彼氏がぁー、彼女のお父さんに、"私はお前のお父さんじゃない！"って言われてるのを見てぇ…」

父「はっはっは(笑)」

CM「…でも、安心しました。」

父「それはドラマの見すぎだなぁ(笑)」

CM「…はい(笑)」

僕はお父さんと
"運転手さん"との時みたいに

他愛のない話で笑うと
また少し側に近寄った。