Begin...【changmin】 (ページ29)

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ep29 【CM Side】ページ29

【CM Side】

トイレに行くために
カウンター横を通った時。

僕はカウンターにうなだれるように
突っ伏している女性に視線がいった。

…いや、正確には彼女の左手に。

CM「うっわぁぁっ！！！」

あれは…僕の指輪！！(怒)

この人は何者なんだという気持ちと
勝手に人の指輪をはめている
ずうずうしさに対する怒りが
一気に込み上げてくる。

僕は気がつくと後先を考えずに
ズンズンズンと大股で
彼女に近づいていた。

CM「すいません」

……無視ですか？

思いきって"とんとんとん"と、肩を叩く。

CM「……」

また無視ですか？

２回目、３回目…

CM「……(怒)」

まだ無視するかぁ！！この僕を！！(怒)

どんどんどん！！！
少し強めに叩いた。

「なんか用ですか…？」

CM「(怒)」

くぁ～～～！！(怒)
何でフキゲンになってるか！？(怒)

CM「はぁ…」

…いや、いけない。
彼女は泣いてる。

それに、この指輪を拾ってるってことは
今日のライヴに来てくれた
ファンかもしれない。

それに、あくまでも
拾って"くれた"人だから。

CM「あのー…」

控えめに話しかける。

「すいません、今顔があげられないです」

CM「……」

あぁ、泣いてるからですか？

まぁこっちからしたら
顔を見られない方がいいですよ。

まだ僕が東方神起のチャンミンだと
気づいてないみたいだし…

CM「……んー…」

本当はすぐにでも
「その指輪は僕のです。返してください」
と言いたかったけれど…

…どうして泣いてるんだろう？

ライヴの後に見掛けるファンの子達は
いつも興奮したみたいに
キャーキャー言いながら笑ってた。

だからこんな風に
泣いて落ち込んでるファンを見るのは
これが初めてで…僕は少し困惑していた。

僕達のライブ…よくなかった？

僕は僕なりにいつものように
最高のパフォーマンスを
したつもりだったのに。

CM「……」

もしかしたら今までの僕達と
少しだけ、ほんの少しだけ
変わっていた事に気づいた…？

だとしたら…

泣いてしまいたいのは僕の方だ。

CM「……」

…やめよう。

ネガティブになるなんて
僕らしくないじゃないか。

なんとなくその涙の理由が気になった僕は
彼女の涙につられないように

いつもの強気な、最強チャンミンになって
泣いている理由を聞いてみることにした。