Begin...【changmin】 (ページ26)

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ep26 ページ26

私は少しずつ
泣いてる理由を話し始めた。

まず、２年半付き合ってた彼氏がいた事。

東方神起のライヴに当選した事。

チケットを彼がご褒美にしてくれた事。

今日はそのライヴだった事。

秘密でペアリングを買っていた事。

お礼に学校にお弁当を持っていった事。

彼の浮気、捨てた指輪。

ここまで泣きながら
ひたすら走ってきた事…

A「ここなら…グズッ…彼の事は…なっ、何もないって思ったからぁー…(泣)」

「んーんーんー…つらいすねー…いろんな事がいっちにちで起こっちゃったーからぁー」

見ず知らずの人の隣で泣きわめく私。

そんな私の話を意外にも
真剣に聞いてくれる彼。

A「今日…ここですべて忘れるために…いっぱい泣くって決めたからぁ(泣)」

そう言ってまた泣きわめく私の横から
「んー」と、まるで唸るように
悩んでるような声が聞こえてくる。

「それはぁー…ちょっとぉー…違うーじゃないですか？」

A「…ぇ…？(泣)」

「忘れるーじゃなくてぇ、思い出にするんですよぉ。」

A「……(泣)」

「思い出を捨ってたりぃー、忘れたりするのはぁー、寂しいし、悲しいことですよ。」

A「うぅ…(泣)」

「素敵ーなぁ、２年半を、捨ってたりしたらダメです。」

A「……(泣)」

「それもぉ、神様ーがくれたぁ、大切な贈り物の２年半だっとぉ、僕は思いますよ？」

A「(泣)」

「だっからぁ、今日起きたことも思い出にするんです。今は確かにつらいですよね？」

A「う゛ん…つ゛らいぃ(泣)」

「でもぉ、かならず……かならず、明日は来るから…」

A「…それ…(泣)」

"かならず、明日は来るから"

トンの曲を知ってか知らずか
彼は私を励まそうと精一杯言葉をくれた。

「だからぁ、"忘れよう"なんてぇ、泣かなくていいでっすよぉー！」

最初に感じていた
偉そうな感じは、もうなくて。

ストレートな言葉が
私の胸に突き刺さる。

本当に泣いてた私を心配して
話しかけてくれたのかもしれない。

きっと彼は自分の気持ちを口にするのが
あまり得意じゃないんだな。

なんか…不器用？

…そんな感じがした。

…だけど、すごい素直。
気休めなんかで言葉をくれたんじゃない。

それが、今の私にはすごい嬉しくて
余計に涙を流させた。