ep16 ページ16
まだライブの熱気が残る会場内。
どこからか大合唱する声が響いてきたり
涙で崩れたメイクを直す人がいたり…
A「はぁー…」
本当に最高だったなぁ。
こんなに素敵なご褒美をありがとう神様。
私は５人のステージの余韻に浸りながら
席についたままぼーっとしていた。
A「あ」
アリーナ席に退場のアナウンスが
流れるまでゆっくり
帰る身支度をしていた私は
ふと亮太の事を思い出した。
今日は学校に泊まるって言ってたけど…
夜食にお弁当を作って
サプライズプレゼントをしに行こう。
もうひとつのご褒美をくれたお礼。
A「…ふふっ♪」
おかずは何にしようかなぁ〜なんて
機嫌よく鼻歌にトンの曲を歌いながら
服の乱れを整えようと
パタパタとパーカーのフードを動かすと…
"チャリン"
何かがフードから落ちてきて
金属音のような音が聞こえた。
そして私の履いてる
サンダルの金具にぶつかって
コロコロと少し転がって止まった。
A「？」
立ち上がる人と人の隙間
イスとイスの隙間をすり抜けて
その音の先を追う。
そしてやっと視界に入ったもの。
本当に自分のパーカーから落ちてきたか
そんなことは私にはわからないし
もしかしたら隣や後ろの人が
落としたのかもしれない。
A「……」
キョロキョロと周りを見渡しても
探してるような仕草をしてる人はいない。
それが自分のものではないと
はっきり認識しても
何故だか気になって…
手を伸ばし、拾い上げてみた。
A「……？」
それは、シルバーの少し大きめな
どうやら男性物の指輪だった。
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作者名：natsu
| 作成日時：2011年10月10日 0時
