ピアス (ページ10)

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「はぁ…楽しかったー！」

『ご飯も全部美味しかったね！』

遠足も終盤戦となり

お店が立ち並ぶ通りで

個人個人、お土産を探すことにした。

「Aちゃん、こっち行こ？」

『うん！』

友達にそう声をかけられ、

お店に向かおうとしたとき

泣いている、小さい子供が目に入った。

『…どうしたんだろ』

私はその場を離れ、その子の方に向かった。

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『どうしたの？』

「迷子になっちゃったの…」

『大丈夫？お母さんの電話番号わかる？』

私がそういうと

途切れ途切れに数字を言い並べるその子は

泣き止む気配が全く無かった。

『…もしもし？お子さんが迷子になっている

ようですが…はい。大きな通りです。…はい』

「ママ、来る？」

『うん！今来るって。もうちょっと待ってね』

電話に出たその子のお母さんは

とても焦っているようで

無事だと伝えると、途端に安心していた。

「あ！ママ！」

「こんなとこにいたの…すみません。

本当にありがとうございました」

しばらくすると女の人がやって来て

何度もお礼を言うと

その子の手を引いて帰っていった。

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「ちょっと、そこの人。話いい？」

良いことしたな、なんて誇らしい気持ちになり

お店に戻ろうとしたとき、

目の前に数人の男子高校生が現れた。

「遠足～？お金たくさんあるよね？くれない？」

「なんか可愛いし、俺らと一緒に来いよ」

逃げようとすると強く手を掴まれ、

叫びたいのに恐怖のあまり声が出なかった。

どんどん人気の少ない場所に連れていかれ

もう助からない、と諦めるしかなかった。

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