ピアス (ページ9)

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「じゃあ気をつけて行ってらっしゃい！」

ついに遠足の日となり

朝早く集合させられた私たちは

グループごとに出発を始めた。

紫耀「結局、どこ行くのか知らねぇんだけど」

『えっとね、海と美味しいご飯！』

紫耀「…ふぅん」

やっぱり当日になっても

あまり興味を示さない紫耀。

周りの雰囲気とは明らかに違っていた。

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「Aちゃん、写真撮ろうよ！」

『うんうん！撮ろ～』

同じ班の女子たちに呼びかけられ

写真を撮ったり、喋ったりしながら歩いていると

近くに綺麗な海が見えてきた。

「ほら、男子。写真撮ってよ！」

「あ、ごめんごめん。撮りまーす」

紫耀以外の男子は

みんな女子の言いなりになって

きっちり指示通りに動いてくれた。

そんな従順な男子たちは

紫耀に対して怖いという気持ちがあるらしく

恐る恐る敬語で話しかけているのが面白かった。

「うーん、やっぱ平野くんは違うね！」

「なんか輝いてる」

『確かに大人っぽいよね～』

1人で少し離れたところを歩く紫耀を見ると

制服の着崩しや、彼を取り巻く雰囲気は

相変わらず余裕さを感じるものだった。

「今までは永瀬くん一択だったけど

最近は平野くん派の人も結構増えてきたみたい」

「王道か、ちょい悪をいくかだよね～」

ここに来ても名前があがる廉は

生涯ずっとモテてきただけあるな、と

勝手に感心してしまう。

「Aちゃんはどっち？やっぱ廉くん？

仲良いもんね～」

『え！？私？どっちでもないよ？

廉はただの幼馴染みだし…』

少しだけ俯いてそういうと

恋愛とか興味なさそうだもんね、と

笑いかけられ、少しだけ焦る胸。

バレないように紫耀の方を見れば

胸のドキドキが少しだけ大きくなる。

自分の紫耀への気持ちに

少しだけ気づいてしまったような気がした。

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