ピアス (ページ27)

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「Aちゃん！どこ行ってたの？」

『…あ、あぁ。ちょっと怪我して…』

真っ赤になった目を戻すには

ある程度の時間がかかり

気付けばもう閉会式は終わっていた。

「顔色悪いよ？大丈夫？」

『…え？あぁ！全然平気！』

「それならいいけど…」

もう何も考えたくなくて

＿もう全て忘れてしまいたいかった。

廉「…A？帰るぞ？」

『…あぁ、うん』

気付けばいつものように廉が来ていて

いつものように肩を並べて歩き始めた。

いつもと変わらないことなのに

なぜか違うように感じてしまう原因は

きっと私のせいじゃなくて

とても苦しそうな表情をしている廉のせいだ。

『あ！そういえばお疲れ様。速かったよ！』

廉「…。」

『…廉？』

廉「ああ！ごめんごめん。お疲れ…」

『どうかした？』

明らかにいつもと違う様子の廉に

そう声をかけると

なぜか廉はその場で立ち止まった。

廉「A。本当に俺のこと好き？」

『…な、何言ってんの？

好きじゃなきゃ付き合わないよ！』

不安そうな顔で私を見つめる姿から

まさか紫耀と一緒にいたところを

見られてしまったのではないかと思った。

『…好きだから。安心して』

廉「ありがとな」

そう言うと、

廉は私の肩に手を回してきつく抱きしめた。

廉の体温が途端に伝わってくる。

廉「A。好き…」

『私も。好きだよ』

これで廉が幸せでいてくれるなら

私の気持ちなんてもうどうでもいい。

人通りのない、静かな道で

私は廉にしばらく抱きしめられていた。

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