ピアス (ページ21)

今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:122,556 hit

・ページ21

・

廉「俺が言おうと思ってたこと言うけど

無理なら無理って断って欲しい」

『大丈夫。何でも言って』

少しだけ流れる沈黙。

頼み事一つのはずなのに

なぜか大きな緊張感を感じた。

廉「…俺と付き合ってほしい」

『…えっ？』

信じられない言葉に耳を疑う。

しかし、私を見る廉の目はとても真剣で

冗談では無いと言うことが伝わってきた。

『なんか全部信じられない…』

廉「引っ越しも、Aのこと好きなんも

全部ほんまや。ずっと好きやった」

『廉…』

廉に恋愛感情があるかと聞かれれば

答えは間違いなくノーだ。

ずっと幼馴染みとしてやってきた廉は

やっぱり変わらず幼馴染みで

それが変わることは多分無い。

＿でも、これで恩返しになるのなら。

『…その願い、叶えます』

廉「…え」

『付き合おう？私でいいなら…。

そういうのよくわからないけど』

私がそういうと

ずっと曇っていた廉の表情に

少しだけ笑顔が見られた。

それがとても嬉しくて

自分の選択は間違っていないように感じた。

廉「断られる気満々だったねんけど」

『…断らないよ』

廉「なんか照れる」

そっと差し出された手を、躊躇いつつも握ると

廉の体温が伝わってきて

鼓動はさらに速くなった。

・

『明日、頑張ってね』

廉「ありがとう。

あと一緒にいれるの少しやけど必ず幸せにする」

『…やめてよ。こういうの慣れてないんだから』

いつもの分かれ道もなぜか違うように感じ、

これが付き合うということなのかと実感する。

赤く染まった頬がバレるか心配だったが

でも、恐らく夕焼けと同化しているはずだ。

・