ピアス (ページ3)

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廉「おい、大丈夫か？あいつの隣で」

『え、なんか良い人っぽいよ？』

廉「…あれはどっからどう見てもヤンキーやろ」

帰り道、やっぱり話題に上るのは

例の転入生のことだった。

『意外と普通に話せる人だよ？』

廉「そうは言っても…」

『女子はみんなかっこいいって騒いでたし…

廉のモテ期にも終わりが来るかもね！』

私がふざけてそう言うと

強気にそんなわけない、と返しつつも

明らかに落胆する廉。

あの人は他の男子にはないような

余裕と大人っぽさがある。

それはきっと、誰しもが思ったことだろう。

廉「ほんと、気を付けろよ？」

『はいはいはい！お母さんみたいだね、廉』

廉「だって、心配やもん。」

『私のこと心配なの…？』

私がからかうようにそう言うと

焦りながら違うと完全否定する廉。

見た目は高校生でも中身はまだまだ5歳児だ。

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＿紫耀、でいいよ。よろしく、A

ふと耳に蘇る、ハスキーな声。

名前呼びする男子なんて廉くらいだったのに

初対面で急にそんなことを言うなんて。

…やっぱ女慣れしてる？

廉「…ん？どうかした？」

『あ、あぁ…ううん！何でもない！』

廉「あ、そう…じゃあまた明日な！」

気付けば家の前にいて

不思議そうな顔をしている廉に

笑顔で大きく手を振る。

小さくなっていく背中を見ていると

身長、いつの間に抜かされたんだろうなんて

昔の廉の姿が急に目の奥に現れた。

『そろそろ彼女でも作りなさいよ…』

ありえないくらいモテるくせに

なぜか今まで一度も彼女がいたことがない廉に

小さく喝を入れてから、家に入った。

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