ピアス (ページ18)

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「はい、じゃあ決めるぞ！」

体育祭実行委員が黒板の前に立ち

慣れた手つきで種目を書いていく。

私は一連の動きをぼーっと眺めていた。

「はい！じゃあ名前書きに来て～」

その言葉を合図に

みんなぞろぞろと席を立ち

黒板に名前を書いていった。

「Aちゃんは何にする？！

『私は…騎馬戦かな』

「やっぱそーだよね！」

男子とは違い、なかなか決まらない女子たち。

女子は仲良い者同士、同じ種目にするのが決まり。

正直勝負なんて関係ない。

＿え、待って。あの2人一緒の種目？

＿やばい！どっち応援しよう！

『え、何？みんなどうしたの？』

「ちょっと！Aちゃん！黒板見てよ！」

急にヒソヒソし始めた女子の様子を探るために

ふと黒板の方を見てみれば

「100メートル走」の欄に書かれた２つの名前。

それは「平野」と「永瀬」だった。

「あの2人が！？やばいね」

『これはやばいね…』

クラスの2大イケメンが一緒のレースだったら

そりゃあ女子たちの歓声の大きさは想像がつく。

「でもさ、やっぱ永瀬くんが勝つのかな？」

『だよね…。廉ほんと速いもんね』

「でも平野くんも運動神経良さそう！」

クラス中はその話題で持ちきりで

みんなどちらが勝つか、なんて予想していた。

「Aちゃんはやっぱ永瀬くんを応援する？」

『…あ、あぁ。うん、まあね』

「仲良いもんね～」

朝、あんなに廉に勝って欲しいと思ったのに

なぜか「勝って欲しい」と

はっきり言葉が出なかった。

それどころか

考えてしまうのは紫耀のことばかりで

そんな自分を最低だと思った。

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