ピアス (ページ17)

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あれから時は流れ

学校中は体育祭ムードになっていた。

しかし私は特に楽しみなわけでもなく

今年も平和に騎馬戦あたりに出ておく予定。

足の速い人はリレーや100メートルそうに出て

みんなからの声援をたくさん浴びられる。

不公平極まりない行事だ。

廉「今年も100メートルかな～」

『…廉はいいよね！学年で一番足速くて』

2人で学校へ向かう中、

呑気そうにそう呟く廉は

私からしたら羨ましいの一言だ。

『私はいつも通り騎馬戦です』

廉「A昔から騎馬戦ばっかよな～」

『それ以外ないもん』

不貞腐れたようにそう言うと

ポンと肩に手を置いてくる廉。

廉「まあ適当にやればええやん？」

『そうだけど…』

廉「俺はまたモテちゃうな～」

『もう！』

そう言う廉がやけに腹立たしくて

肩に置かれた手を思いっきり振り解く。

こんなこと、私にしか言わないくせに。

『廉の本性、みんなに見せてやりたい！』

廉「本性とか無いし！いつも同じやろ？」

『呆れた！自惚れ野郎のくせに！』

次、廉がそういうことを言ったら

絶対にクラス中の女子にバラしてやろうと決め、

廉を置いて少しだけ早歩きで歩いた。

廉「おい待てよ！」

『今年の100メートル、絶対廉勝てないよ！』

廉「んなわけないやん！じゃあなんか賭けよ？」

廉が誰かに負けることなんて

絶対ないと分かっていたけど

なぜかとても悔しくて、私は賭けることにした。

『…賭けって何？』

廉「うーん、お願いひとつ聞くとか？」

『…まぁ、いいけど？』

賭けで廉が勝つことはほぼ確定だけど

いつもの恩返しを少しでもできれば良いなと

少しだけ体育祭が楽しみになった。

廉「お互い頑張ろ！」

『私はただ祈るだけだけどね』

廉「転べ！とか祈んのやめてな？」

『そうしよ！転べ！転べ！』

でも私の心の中は

言っていることと真逆で

廉が勝てますように、と祈っていた。

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