ピアス (ページ12)

今日:2 hit、昨日:3 hit、合計:122,473 hit

・ページ12

・

『ねぇ…その傷』

紫耀「あー、こんなん痛くも痒くもないから」

口の横にできていた傷は

痛々しく赤い血で染まっており

私は何度も謝ることしか出来なかった。

・

「Aー！どこ行ってたの？心配したよ」

『本当にみんな、ごめんね…』

さっきの場所に戻ると

班のみんなが待ってくれていた。

そんなみんなの顔を見ていると

申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

「Aがいなくなった途端、

平野くん真っ先に探しに行ってくれたんだよ？」

『…え、そうなの？』

「うん！ダッシュで行っちゃってさ」

＿みんなに探してこいって言われたから…

確かに紫耀はさっきそう言った。

これは私に気を使わせないためだったのだと

そのとき気づいた。

「平野くん怪我してるけど、何があったの？」

『ヤンキーみたいなのに絡まれて…

殴ろうとしてきたのとか全部かわしてた』

「え！A大丈夫？ってか守ってくれたなんて

平野くんかっこいい！やっぱ不良なのかな？」

確かに喧嘩慣れしてそうではあったけど

優しく頭を叩いてくれたのを思い出すと

全くそんな面影は感じられなかった。

・

その後、先生から事情を色々と聞かれ

私と紫耀だけ残されてしまった。

『…ごめん！紫耀。私のせいで…』

紫耀「謝るなよ。それに迷子の子助けようと

してたんだろ？いいことしてんじゃん！」

紫耀の心の広さに感謝しながら

私はやっぱり謝ることしか出来なかった。

・