器用で不器用な恋 (ページ5)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:3,801 hit

４．新学期ページ5

いくら、毎日同じようなことをして過ごしていたって、そりゃあもちろん変化はある。

今日がその一例。

新学期。出会いの季節。
周りできゃあきゃあとはしゃぐ女子を適当にあしらいながら、クラス発表の紙にたどり着く。

「やった！なつ！また一緒！！」
「えっ！？ほんと！？うれしいなぁ。」

「あぁぁ…なつ、離れちゃった…」
「残念…遊びに行くね！」

今年のクラスは、２年Ｃ組。
出席番号３番。

色々リアクションしてるけど、正直クラス替えは割とどうでもいい。
自分でいうのもなんだけど、女子にも男子にも好かれてる自信はあるし、暗い人ともやっていける自信もある。

結果。どのクラスでもたいして困ることはない。

でもやっぱりメンバーは気になる。ざっとＣ組の名前を見ると、聞き覚えのある名前が目に留まった。

望月咲也。

夏樹とは違うタイプの、端正な顔立ち。
切れ長の目に浮かぶ鋭い光には人をひきこむ何かがある。
まぁ、言うところのイケメンだ。

口を開けば、そこから聞こえる声は、少し甘さも含んだ低い声。
いわゆるイケメンボイス。通称イケボ。

だが、いつもしかめられた眉。
不機嫌そうに引き締められた口。
鋭いつり目。

それらは、人を怖がらせるには充分な威圧感がある。
そのためいつも人は離れていきがちだが、本人に悪意はないと思われる。

でも、その端正な顔だちに、抜群の運動神経。成績のそこそこいい彼には、隠れたファンもいる。

まぁ、僕のファンの方が圧倒的(？)に多いが。

色々と考えを巡らせていると、夏樹の頭の上から声が降ってきた。
話題の、甘く低い声。

「Ｃ組…」
「んっ！？」
その声があまりに近かったものだから、思わず声を上げて見上げてしまう。