王馬小吉の夢短編集 (ページ8)

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『はっ…!』

そんな大事な記憶を今の今まで忘れていたっていうのか?

その余りに膨大な記憶を一瞬にして思い出してしまったせいか、目の前に倒れる

幸か不幸か目の前には王馬君がいたので倒れることはなかった

王馬君は一瞬驚きながらも、すぐに気味の悪い笑顔を浮かべしらを切るように行った

『ん？どうしたのAちゃん?随分積極的だね?もしかして君もオレのこと好きだったとか?』

『…っぅ！そんなわけなぃ…!』

そう言いながら突き飛ばそうにも王馬君はいつの間にか私の背中に回していた手で力強く私を抱き寄せる

『……!』

振りほどこうにもやはりほどけない、いくら華奢な王馬君とはいえ男と女だということをその行為によって認識させられる

『やっぱり力の関係ってこういう場面で見せ付けるに限るよねっ！』

偶然にも、王馬君も私と似たようなことを考えていたらしい

『いやー…鍛えててよかったよ!』

そんなことを言いながら屈託のない笑顔で私を押し倒す

『いっ！』

今度は後ろに王馬君がいなかったので、地面に頭がクリーンヒットする

『あっ、ごめんごめん!痛かったよね?でもAちゃんがオレより強かったら今、こんなことにはなってないもんね?
それってつまり…オレより弱かったAちゃんが悪いって事になるよね!』

またまたハチャメチャな理論、てか床が硬すぎて頭が痛い

そんな事を考えていると王馬君の手が私の頭と床の間に入りこんだ

間に手が入った事で頭がだいぶ軽くなる

王馬君の手が頭の後ろにあることで痛みがなくなる

意外と優しいとこもあるんだなと感心したのもつかの間

『まぁたまには紳士的な行動しとかないと洒落になんないくらい嫌われるからねー…』

そんな意図が有ったなら言わなければいいのに…

王馬君がそう言った直後、空いた左手で私の目を塞いできた

『Aちゃん』

恐らく王馬君が顔に近づいてる

多分キスをしようとしているんだろう。
だが、王馬君なら、きっと直前にウソだよーとか言ってくれそう。てかそうであってくれ