王馬小吉の夢短編集 (ページ3)

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そう云いながらヒョイッと横にズレる王馬君に少しホッとした

『オレがAちゃんにそんな酷いこと言うわけないじゃーん!もしかして…ほんとだと思った?』
とニヤニヤしながら言う王馬君

彼は嘘をつくのがヤケに上手いから毎回ドキドキさせられる

『うん…少しね』

そう言いながら王馬君の横をそそくさと早歩きする
と王馬君は少しぽかんとしたあとすぐに

『あっ、待ってよー！Aちゃーん!!』

と言いながら私に飛び付いてくる

『んぎゃっ!?』

びっくりして変な声が出てしまった

王馬君は私の腰辺りに顔を擦り付けながら笑う

『たはーっ！Aちゃんせめてもう少し可愛い声とか出せないのー?んぎゃってなに?んぎゃっ!!』

っ〜〜〜!!なんだコイツ!!

やっぱり私は王馬君が苦手なんてものじゃない
嫌いだ
一歩間違えばいじめみたいな事も普通にしてくるし好きな子の前で抱き締めてきたりするし

そこからは堪忍袋の緒が切れたのかスラスラと言葉が出てきた

『……王馬君』
震える声でいうと王馬君は
『なぁに?Aちゃん』
と場違いにも明るい声で返事をする

『あのね…もう、私に構うのやめてほしいの』

『…えっ?なんて?聞こえないなー』

小さい声だが、未だ腰に巻き付いている王馬君には聞こえているはずだ

『そういう…所とか、私…あの嫌いだから、やめてほしいの』

勇気を振り絞って王馬君に言うと彼はゆっくり顔を上げて
パチリ

ふと、目が合う

彼の目は涙が溜まって今にも決壊しそうだ
『えっ!えっ!?』

予想だにしていなかった自体に声をあげてしまった
その後、すぐに

『うわ〜〜〜ん!!酷いよ〜〜〜!!!Aちゃんの馬鹿〜〜!!!!』

フロアに響き渡る声に思わず耳を塞ぐ

『あっえあ！？王馬君！ごめん！大丈夫だから！さっきのは嘘だから！！』

『うぅ…じゃあAちゃんオレのこと好き?』
コテンと首を傾げながら聞いてくる様子に少し慌てながらも答えてやる