王馬小吉の夢短編集 (ページ12)

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周りには誰もいない

そりゃそうだ、いつもなら空いていないんだから

『屋上…普通は閉まってるはずだけど』

『あーそれ?なんか今日授業で使うらしくて空いてるんだよ』

そう言いながら屋上のど真ん中に座る

『そういえば今日なんか浮かない顔してるけど…なんかあった?』

おにぎりと炭酸を飲みながら私にそう聞いてくる……米と炭酸って合うのか?

『別に…なんもないよ』

『ふーん…そうなんだー……あっコレ食べていいよ』

投げ出されたおにぎりと水を慌てて受け取る

『……今日、気味悪いね』

『普通さーまず感謝するよね?』

『………ありがと、う』

おにぎりを黙々と食べながらも王馬君は話しかけてくる

一応おにぎりをくれたので話に相槌やノってあげたりする

意外と楽しくてびっくりした

でもこいつ私を軟禁したんだよな?

だけど…不思議なことに軟禁された日々を思い出せない

でも、逆に言えばそれ以外は思い出せているからそれさえ思い出せば良いだけだ

もしかしたら、私達はまた友だちになれるかもしれない

その後はすぐに帰宅した

王馬君と屋上へ行く際、友に見られていたそうでそこら辺を突かれたが、悪い気分はしなかった

その日も親と喧嘩した

また、ご飯を食べなかった

お腹が空いた

朝も早朝に起きた

５時半

空腹を紛らわせる為水をコップ２杯飲む

さっさと準備して学校へ行く

学校へついたのは6時だった

6時というのは意外と暗いもので周りが絵の具の藍色をぶちまけたような色をしていた

前回と違うのは財布を持ってきたということだ…これで近所のコンビニへお弁当を買いに行った

お昼時間、また屋上でご飯を食べようと屋上へ行く

もしかしたら王馬君が来るかもしれないという気持ちで待とうと思った

が、屋上が開いてなかった

そういえば確か、空いてるのは昨日だけ…だったよな

仕方なしに屋上前の階段で弁当を食べる

食べ終わるまでここで待っていようと思ったが、王馬君は来なかった

まぁ…約束しなかったし来ないのも必然的ではある
そう自分を納得させながら階段を降りる

『『あっ…』』

声が重なる

王馬君が昨日と同じ量のおにぎりとパンを両手に持って、階段の下にいた