幻影というか虚像 ページ12
汗がとめどなく滴り落ちる。蜃気楼と違って俺は海楼石に免疫がないので、この状態で刀を振るうのはかなりきつい。
「はっ......くぅっ...」
「やっぱ強いなぁ...。流石だよ。」
口では俺を賞賛しているが、格下の相手を愚弄するかのように次々と斬撃を飛ばしてくる。
「うっ....！」
避けきれなかった斬撃が�茲に傷をつけ、生暖かい血が吹き出してきた。
俺より遥かに動いてるはずなのに、奴は相変わらず敵ながら惚れ惚れするような精錬された身のこなしである。
こいつはどれほど普段から海楼石の耐性をつける訓練をしているんだ。
「なぁなぁ、はやく俺を殺さねぇと大事なお仲間がやべぇんじゃないのか？」
「うるせえっ」
そんなことは分かっているのだ。一刻も早くアイツらを助けないといけないって。
極度の焦りで息が荒くなり、汗が毛穴から吹き出してきて思わず刀を握る手が滑ると、その隙を逃すまいと上から刀が無情にも降ってくる。
「あ”あ”あ”あ”！！！！！！」
先程とは比にならない勢いで鮮血が肩からブシャッと吹き出して鈍い痛みを訴える。
「焦る気持ちは分かるけど、戦いにおいて焦りってのは禁物だぜ。外科医。」
そう言ってまた掠れた笑い声をあげる。
.....奴は今、袋の下で一体どんな表情をして笑っているんだろうか。
ふと命を懸けた戦いの中で呑気にもそんなことを思う。
「......ん？どうした、急に動きを止めて。もしかしてもう体力切れかよ。」
「いや.....なんでお前が蜃気楼って呼ばれているか分かった気がしてよ。」
「.....？」
奴も俺につられて一瞬だけ動きを止める。
そして、その隙に俺は勢いよく刀を振り下ろす。
すぐに激しい衝突音がした。
「俺はさ、確かに今”お前と戦っているけど、なんか自分と戦っているのが”お前"じゃない気がしてくるんだよ。まあ俺は”お前”のことは何も知らないけどな。」
俺は刀を握る手に力を込める。
「本当の”お前”は別にいて、今ここにいる”お前”は、まるで霧で作られた虚像のようなニセモノなんだって。」
カランっという鈍い音がした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 109人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ネギハチミツ(プロフ) - レイさん» まず、私の作品を気に入って下さり本当にありがとうございます！私も他の方がアンチコメを書かれているのを見たことがあります。正直アンチは怖いですが、レイさんのように応援してくださる優しい読者様がおられることを忘れないように頑張りますね！ (2020年8月26日 15時) (
レス) id: c992f79167 (このIDを非表示/違反報告)
レイ - 応援しています。長文失礼しました。 (2020年8月25日 23時) (レス) id: d93c2575b2 (このIDを非表示/違反報告)
レイ - ネギハチミツ様のお話はとても面白いので、今後アンチコメなどが書かれることがあると思います。しかしネギハチミツ様の作品は素晴らしく、私以外にも更新を楽しみにしている方が沢山います。アンチなどを気にせず、無理しない程度に更新頑張って欲しいです。 (2020年8月25日 23時) (レス) id: d93c2575b2 (このIDを非表示/違反報告)
レイ - ネギハチミツ様の作るお話はとても面白く、話がよく作られており、ギャグな別作品と異なりシリアスな今作では主人公の悲痛な思いに涙が出そうになるところもありました。私はこれまでに多くの神作者の人々を見てきましたが、アンチなどがあり失踪する方々がいました。 (2020年8月25日 23時) (レス) id: d93c2575b2 (このIDを非表示/違反報告)
レイ - 初コメ失礼します。この作品がとても素晴らしいという事と、ネギハチミツ様のもう一つの作品も好きだったという偶然が重なり、思わずコメントを書いてしまいました。長文になりますが、どうかご了承の程お願い申し上げます。 (2020年8月25日 23時) (レス) id: d93c2575b2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ネギハチミツ | 作成日時：2020年8月25日 18時
