4話 ページ6
工場の倉庫にて、敦は奏のマシンガンの如く質問を受けていた
奏「お名前は!?」
敦「中島敦です…」
奏「誕生日いつ!?」
敦「5月5日…」
奏「好きなものは!?」
敦「茶漬け…ですかね」
奏「あ!何歳!?」
敦「18になります…」
奏「同い年なんだ!!」
敦が答える度に明るく笑う
正直、敦には何故こんな何もない自分のことを聞いて楽しそうにできるのかわからなかった
それを見兼ねた太宰は読んでいたいつもの本を閉じて笑った
太「ははっ、かなちゃん。敦くん困っているよ」
奏「!、あ、ごめんね」
敦「いえ…あの、太宰さん。本当にここに現れるんですか?」
太「本当だよ」
敦の質問に即答する太宰
それを訝しむ敦に奏は声をかける
奏「太宰さんが言うんだからほんとだよ。そ、れ、にっ!太宰さんは強いからね、こんな事件パパッと解決しちゃうよ!」
太「ほんとはかなちゃんがパパッと解決するんだけどねぇ」
奏「えー…私は太宰さんみたいな推理とか苦手なんだよー」
そんな2人の会話を聞いて膝を抱えた敦はポツリポツリと語り出した
敦「はは、すごいですね、自分に自信のある人は。
僕なんか孤児院でもずっと『駄目な奴』って言われててーーその上今日の寝床も明日の食い扶持も知れない身で…
こんな奴が野垂れ死んだって、いや、いっそ食われて死んだ方が…」
2人はそれに何も言葉をかけず、ただただ見つめていた
満月が夜空に光り輝いていた
太「さて…そろそろかな」
そう太宰が言えば、敦の座っていたところの奥で大きな物音がした
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作者名:かなと | 作成日時:2017年7月24日 22時