検索窓
今日:2 hit、昨日:5 hit、合計:5,656 hit

4話 ページ6

工場の倉庫にて、敦は奏のマシンガンの如く質問を受けていた



奏「お名前は!?」

敦「中島敦です…」

奏「誕生日いつ!?」

敦「5月5日…」

奏「好きなものは!?」

敦「茶漬け…ですかね」

奏「あ!何歳!?」

敦「18になります…」

奏「同い年なんだ!!」



敦が答える度に明るく笑う


正直、敦には何故こんな何もない自分のことを聞いて楽しそうにできるのかわからなかった


それを見兼ねた太宰は読んでいたいつもの本を閉じて笑った



太「ははっ、かなちゃん。敦くん困っているよ」

奏「!、あ、ごめんね」

敦「いえ…あの、太宰さん。本当にここに現れるんですか?」

太「本当だよ」



敦の質問に即答する太宰

それを訝しむ敦に奏は声をかける



奏「太宰さんが言うんだからほんとだよ。そ、れ、にっ!太宰さんは強いからね、こんな事件パパッと解決しちゃうよ!」

太「ほんとはかなちゃんがパパッと解決するんだけどねぇ」

奏「えー…私は太宰さんみたいな推理とか苦手なんだよー」



そんな2人の会話を聞いて膝を抱えた敦はポツリポツリと語り出した



敦「はは、すごいですね、自分に自信のある人は。
僕なんか孤児院でもずっと『駄目な奴』って言われててーーその上今日の寝床も明日の食い扶持も知れない身で…
こんな奴が野垂れ死んだって、いや、いっそ食われて死んだ方が…」




2人はそれに何も言葉をかけず、ただただ見つめていた


満月が夜空に光り輝いていた




太「さて…そろそろかな」


そう太宰が言えば、敦の座っていたところの奥で大きな物音がした

5話→←3話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (12 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
16人がお気に入り
設定タグ:文スト , 中島敦 , 原作沿い
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:かなと | 作成日時:2017年7月24日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。