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しばらくすると星祭りのフィナーレを飾る花火が打ち上がり始めた。窓から差し込む煌びやかな光と、内蔵まで響くような重低音がぼーっとしていた彼女の意識を現実に引き戻した。
重かった体に力を入れて立ち上がり裏庭に出ると、一つの大きな花火が花開きキラキラと散っていくタイミングだった。
A 「きれい…」
カリエス 「あぁ、きれいだな」
突然後ろから聞き慣れた声が聞こえ、思わず肩がピクリと反応した。ゆっくりと振り返ると、そこには、部屋の暗がりからにっこりと微笑みながら近づいて来るカリエスの姿があった。
A 「びっくりした…。急に声をかけないでください」
カリエス 「それは、すまなかった」
カリエスは私の隣に並ぶと、次々と打ち上げられる花火を眺めもう一度『きれいだな』と小さな声で呟いた。
A 「そういえば、昼間のお披露目、お疲れ様でした。私、街の人に紛れて見てたけど、みんな貴方の姿を見て熱狂してた…」
カリエス 「そうか?ただ『皆さんの笑顔が素敵だった。最後まで楽しんでください』って言っただけだ」
A 「いやいや、もっとちゃんと話してたでしょう。次期国王様が立派に成長して久しぶりに挨拶したんだもの、凄かったわ」
カリエス 「Aは城に居るもんだと思ってた」
A 「折角なら一国民として見たくて。常に近くにいると距離感がちょっとおかしくなるから…」
そう言うと、ふっと微笑んでみたが自然と視線は手元に落ちた。
その意味深な言葉にカリエスが眉間にシワを寄せていることなんて気づかなかった。
カリエス 「…Aと俺の仲じゃないか。今更そんなに気にする必要があるのか?」
カリエスはどことなく感じる緊張感を掻き消すように、わざと明るい声で冗談を話すように問うてきた。しかし、その『気にしなくていい』という彼の言葉が身体の中でこだまし、心をギュッと押しつぶす。
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べーだい*メガネ(プロフ) - Da.Liさん» ありがとうございます(TT)本当に嬉しいです!頑張ります♪ (2022年11月7日 23時) (レス) id: 5d75e3e900 (このIDを非表示/違反報告)
Da.Li(プロフ) - 更新ありがとうございます!とても素敵な話で楽しませてもらっています!これからも楽しみにしています! (2022年11月7日 9時) (レス) @page32 id: 5f9bb70e19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:べーだい*メガネ | 作成日時:2020年10月20日 20時