検索窓
今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:1,214 hit

    4 ページ39

しばらくすると星祭りのフィナーレを飾る花火が打ち上がり始めた。窓から差し込む煌びやかな光と、内蔵まで響くような重低音がぼーっとしていた彼女の意識を現実に引き戻した。
重かった体に力を入れて立ち上がり裏庭に出ると、一つの大きな花火が花開きキラキラと散っていくタイミングだった。


A 「きれい…」

カリエス 「あぁ、きれいだな」


突然後ろから聞き慣れた声が聞こえ、思わず肩がピクリと反応した。ゆっくりと振り返ると、そこには、部屋の暗がりからにっこりと微笑みながら近づいて来るカリエスの姿があった。


A 「びっくりした…。急に声をかけないでください」

カリエス 「それは、すまなかった」


カリエスは私の隣に並ぶと、次々と打ち上げられる花火を眺めもう一度『きれいだな』と小さな声で呟いた。


A 「そういえば、昼間のお披露目、お疲れ様でした。私、街の人に紛れて見てたけど、みんな貴方の姿を見て熱狂してた…」

カリエス 「そうか?ただ『皆さんの笑顔が素敵だった。最後まで楽しんでください』って言っただけだ」

A 「いやいや、もっとちゃんと話してたでしょう。次期国王様が立派に成長して久しぶりに挨拶したんだもの、凄かったわ」

カリエス 「Aは城に居るもんだと思ってた」

A 「折角なら一国民として見たくて。常に近くにいると距離感がちょっとおかしくなるから…」


そう言うと、ふっと微笑んでみたが自然と視線は手元に落ちた。
その意味深な言葉にカリエスが眉間にシワを寄せていることなんて気づかなかった。


カリエス 「…Aと俺の仲じゃないか。今更そんなに気にする必要があるのか?」


カリエスはどことなく感じる緊張感を掻き消すように、わざと明るい声で冗談を話すように問うてきた。しかし、その『気にしなくていい』という彼の言葉が身体の中でこだまし、心をギュッと押しつぶす。

    5→←   3



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (3 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2人がお気に入り
設定タグ:恋愛 , 小説 , 王子   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

べーだい*メガネ(プロフ) - Da.Liさん» ありがとうございます(TT)本当に嬉しいです!頑張ります♪ (2022年11月7日 23時) (レス) id: 5d75e3e900 (このIDを非表示/違反報告)
Da.Li(プロフ) - 更新ありがとうございます!とても素敵な話で楽しませてもらっています!これからも楽しみにしています! (2022年11月7日 9時) (レス) @page32 id: 5f9bb70e19 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:べーだい*メガネ | 作成日時:2020年10月20日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。