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第11章 1 ページ36

星祭り、最終日。
毎年、最終日に国王は国民の前で挨拶をする。そして今年、その場には正装したカリエス王子も出席した。
7年ぶりに国民の前に姿した王子。立派になった彼を見て、国民が歓喜の声を上げている。国王もカリエス自身もその熱狂ぶりに笑顔を見せていた。

そんな姿を私は一国民として街に繰り出し人ごみに紛れ、その瞬間を見届けていた。
国民に紛れ街から見上げると、小さく見える笑顔の王子様。これが彼との距離だと言われている様で少しだけ心が痛んだが、現実を受け止める覚悟は何年もしてきた。その甲斐あって、涙が出るほどの苦しみにはならなかった。ただ、ついに夢から覚める時が来たのだと告げられただけだ。


街が盛り上がる中、城に向かって歩みを進め早々に自室に戻るとメイド服を取り出す。もうこのメイド服とはおさらばだ。明日からは、また別の仕事着が準備されている。懐かしむように眺めてから小さなクローゼットへ大切に奥の方へ仕舞った。
そして毎日髪につけていたリボン。
クタクタになりお世辞にも見栄えが良いとは言えなくなっているが、大切な宝物だ。


A 「今までありがとう…。明日からは部屋でお留守番だけど、私のこと見守っててね」


綺麗にリボンを丸め、宝物箱に仕舞う。
私は感傷に浸るようにベッドへダイブし目を閉じた。脳裏には幼い頃からの思い出がふと蘇る。

ぼんやりだが優しくしてもらった王妃様との思い出、もちろん楽しいことも沢山あるがそれだけではない。カリエスと喧嘩して泣かされたこともあった。
王子様だとまだ理解できていない時、ちょっとした事で競い合って負けて悔しくて、文句言ったら段々ヒートアップして喧嘩になった。大泣きする私を困り顔で見つめるカリエスもまた、泣きそうな顔をしていた。そんな姿をを遠くから見守る爺やの優しい眼差しは、今も変わっていない気がする。

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設定タグ:恋愛 , 小説 , 王子   
作品ジャンル:恋愛
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べーだい*メガネ(プロフ) - Da.Liさん» ありがとうございます(TT)本当に嬉しいです!頑張ります♪ (2022年11月7日 23時) (レス) id: 5d75e3e900 (このIDを非表示/違反報告)
Da.Li(プロフ) - 更新ありがとうございます!とても素敵な話で楽しませてもらっています!これからも楽しみにしています! (2022年11月7日 9時) (レス) @page32 id: 5f9bb70e19 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:べーだい*メガネ | 作成日時:2020年10月20日 20時

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