224 ページ44
薄暗いスタジオの中、フラッシュの光が素早く光り続けていた。
祈織さんをイメージした『シルバーグレー』の下着を身につけた私は、その上に大きめの白いシャツを羽織っているだけだった。
カメラマン 「あっ、そこ！！その手は動かさないで、そのまま肌に唇近づけて！！！」
祈織 「こんな感じですか？」
祈織さんはカメラマンに指示されたように動きを止めた。そして、私の着ているシャツを肩からはだけさせた状態で、ゆっくりと胸元に唇を近づけた。
カメラマン 「そう！それでAちゃんは祈織くんの方を伺う感じで」
A 「はい」
私は頬が紅潮しないように必死に耐えながら、祈織さんの唇が自分の肌に触れるか触れないかの距離で静止しているのを見下ろしていた。
カメラマン 「えーっと、もう少しデザインが写るようにしたいから……」
細かく角度を変え、何パターンも撮影していく。
私も祈織さんもこれまで『自然に。楽しそうに。』と言われることが多かった為、ここまでこだわって撮影するのを見ると、今回のこのランジェリーへの期待が大きいのが理解できた。
だからいつも以上熱の入っているカメラマンさんの要望に応えたいと、恥ずかしさを押し殺し必死にドキドキを抑えるのだった。
カメラマン 「よし！じゃあ今度は祈織くんは上目遣いで、見下ろしてるAちゃんのこと見つめてみようか」
祈織 「こういう感じでいいですか？」
A 「っ、」
上目遣いで私を見つめてきた祈織さんはいつもよりも大人っぽく、でも母性本能をくすぐられる様な何とも言えない表情をしていた。
私は耐えきれず無意識のうちに祈織さんから視線を外してしまった。
その間もフラッシュは光続けていた。
それを見逃さなかった祈織さんはイタズラをするかの様に、シャツをはだけさせていた手をゆっくりと腕をなぞりながら腰の方へと移動させた。
細い指でなぞられたラインが擽ったくて少し身体を引くと、『逃がさない』と腰に添えた手に力を込め鋭い男性の視線で私をその体勢から逃してはくれなかった。
カメラマン 「はい、カット！！アドリブでここまでのやりとりが出来るとか、さすがいつも一緒に撮影しているだけあるね〜」
祈織 「ありがとうございます(^^)」
さわやかな笑顔で返事をした祈織さんに対し、私は『ありがとう、ございます……』と苦笑いするしかなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 82人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
春妃(プロフ) - こんなに面白い作品は久しぶりです！気づいたら一気読みしてしまいました！更新を楽しみにしてますが無理はせずに頑張ってください(* ´ ▽ ` *)応援してます！ (2019年10月14日 6時) (
レス) id: 37086665c7 (このIDを非表示/違反報告)
かちゅ(プロフ) - とっても面白いです！更新楽しみにしてます！ (2019年5月25日 13時) (レス) id: b0ebd2074b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：べーだい＊メガネ | 作成日時：2019年5月16日 11時
