新しい道が開くとき【BROTHERS CONFLICT】【フォルティッシモ】 (ページ43)

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顔を上げると(いつの間に近くに来たのか、私は全く気づかなかったが)目の前にはほわほわしたオーラを放つ男性が立っていた。

？？「どうしたの？僕でよかったら話、聞く」

じっと私と視線を合わせ言ってきた彼は、柔らかい微笑みを浮かべながら私の隣にそっと座った。

A 「あの、えっと…」

？？「僕にはわかる。Aちゃん、たぶん悩み抱えてる。」

一言ずつゆっくりなペースでそう語る目の前の男性から、何故だか目が離せなかった。

A 「あの、何で私の名前？」

？？「昨日、兄さんから連絡あった。新しい女の子、一緒に暮らすって。たぶん貴女のこと」

A 「はい。…はじめまして、琉生さん」

琉生「はじめまして、Aちゃん。よろしく、ね(^^)」

私の全てを包み込んでくれるようなオーラと優しい眼差しに、私は先程までずっと考えていたことなどすっかり忘れてしまっていた。

私たちはお互いに言葉は交わさず、しばらく見つめ合っていた。

A 「(初対面なのにこんなにも落ち着ける、安心感がある……不思議だな)」

少しの沈黙の後、琉生さんがゆっくり話し始めた。

琉生「Aちゃん、泣いてた」

A 「え？(私さっき顔伏せてたし、別に泣いてないけど…)」

琉生「たしかに泣いてない。でも心が泣いてる。…無理、しないで？」

無理をしているつもりはなかった。
本当に出来事ひとつひとつが衝撃的で、心の整理がついていないのは確かだ。

しかし、今の琉生さんの『無理しないで』という言葉が心に響いて、私は初めて自分が無理をしていたことに気づいた。

琉生「独りで考えすぎないで。兄弟のみんな、優しい。だから悩み聞いてくれる」

A 「はい」

琉生「うん(^^)」

この世界に、新しい環境に馴染まないとと焦っていた。

まだまだ始まったばかりで、いつ終わるかもわからないこの時間。これから先のことはわからない。
でもゆっくり、この生活を有意義な時間にしたいと素直に思った。