新しい道が開くとき【BROTHERS CONFLICT】【フォルティッシモ】 (ページ41)

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光「あ、一か所だけ店寄ってもいいか？新しいスーツ欲しくてさ」

A 「あ、はい。どうぞ」

光「すぐ終わらせるけど、そうだな…店の前にある椅子にでも座って待ってていいから」

A 「わかりました」

私は光さんが目的としていたお店の前にある長椅子に腰をかけ、手元にある数々の袋をぼーっと眺めながら光さんを待った。

ふと顔を上げるとお店のポスターに目が止まった。

そこにはスーツを着てかっこよくポーズを決めている祈織さんが写っていた。

A 「…かっこいい」

私は無意識にそう呟いた。

光「なぁに、祈織がお気に入りなわけ？」

振り返ると大きな紙袋を持っている光さんに声をかけられた。

A 「っいえ、モデルの祈織さんを初めて見たので、普通にかっこいいなぁと思っただけです」

光「モデルの祈織を初めて見た、って『モデルじゃないの祈織』は見たことあるっていうこと？」

A 「あ、(なんか今、私ダメなこと言った？！)」

光さんの目が私の隠している秘密を見透かしているようで、明らかに怪しいとは思ったが私は視線に耐えられず自ら目を逸らした。

A 「…あまり雑誌とか見ないので、昨日雅臣さんに見せていただいた家族写真が初めてでした」

光「本当に真面目な生活を送ってきたんだな。…そろそろ帰るか」

A 「はい」

私は荷物を手に持ち立ち上がった。

A 「(危なかった……)」

私は１つため息をつき、駐車場まで光さんと並んで歩く。

その時光さんが横目でため息をついた姿を見ていたなんて、私は知らなかった。