五度 ページ7
「ねえ、貴女、るぅと君のこと好きなの」
元気ハツラツしてそうなボブの村の子が
話しかけてきた
目の奥には知りたいけど知りたくない
気持ちの葛藤が伺える、手が震えてるし
「私は、仕事仲間なだけ
それ以外の時は会ってない」
「...そっか」
途端安心したような表情
「ありがとう」
笑顔でお礼を言ってくれた子
この子、憑きやすいな
「いや、別に、貴女水飲んでいた方が良いかも
肌が荒れてる」
水に大した効果はないけど
かといって、本当の事を言うのも躊躇う
「そっか、最近気にしてたんだ！ありがとう」
はじめて話したのに、手を振ってくれた
小さくふりかえし、私は花筵森に向かう
花筵ｶｴﾝﾉ森は名前の通り森を抜けると
一面に草や彩り鮮やかな花が
年がら年中咲いている
一年中綺麗なままでも、素敵なのだ
そう言うと、お母さんにいい考えねと
褒められた
でも、素敵すぎるからだろう
人に見せたくなるのだ
でも、此処から一度花を取ってしまうと
家族にも会えなくなるのだ
取ってしまってから、慌てて返しても
遅いのだ
取ってしまった人は倒れるまで、迷い続ける
何日間だろうね
それは本人にしか分からない
聞けないのかって？、白骨が何を話せるの？
私は今日その白骨達を集める為に、村を通ったのだ
主に、若い女性が多い、たまに男性もいるらしいけど
「白骨を見つけても、驚くなよ」
前に集めていた男性に言われたこと
白骨なんて、たまに動物で見かけるから大丈夫
そう暗示をかける
そもそも、何故私が死体を集めるのか
当番制なんだよ
掃除当番みたいでしょ？⬅
違うところは、回ってくるのが一年以上ってとこ
私は森に入る前に一礼する
何だろうね、頭が下がるんだよ
森の中を少し歩くと、一人見つけた
白骨なのは白骨なんだけど
その側で、恐らく着ていたであろう着物
めっちゃ綺麗に畳まれてある
そして白骨は一輪の花を握っていた
だからか、
花筵森に行く前は、村を通れと言うのは
私は一枚風呂敷を広げ着物と花を入れ
潰れないように結ぶ
骨は箱の中へ
その日は三人を見つけ出せた
私は、役人さんの所へ行き
風呂敷を渡す
骨は焼くところに持っていき
背負っていた箱をひっくり返して
燃やしていく
「南無阿弥陀仏」
煙突から出ている煙に手を合わせた
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作者名：名無し | 作成日時：2020年6月4日 20時
