許されるならダラダラしたい (ページ17)

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十五度ページ17

モブside

オーリの長の家が燃えてから一ヶ月二週が経った
長の娘や娘の物は跡形もなく消えたが
家は残ったままだった

オーリ．A
彼女はただいるだけで良かった
民族ではもう長い間子供は産まれなかったが
彼女は産まれてきた

民族の末っ子であったから、
俺達は男女問わず、彼女を可愛がった

生憎、長の娘だからといって
仕事をさせない訳にはいかない

ご先祖様の力を代々受け継がれておられるので
長の家系が変わることはない
長を狙う輩は、仕事の量と才能の差
そして周りの目の多さから長く続かない

民族のなかでギスギスとした関係だったが、それは変わる

Aが産まれてからは民族に良い運がまわってきた
各家庭で子供が恵まれ、人が増えたのだ

これは、民族のなかで大きな問題であったが
Aが産まれてからは赤ん坊の泣き声が
よく聞こえてくるようになった

災害も少なくなり、作物や穀物が被害にあわず
雨が良く降るようになり、水に困らなくなった

近くにある村との関係も良くなった
というのも、村の村長夫婦は子に恵まれなかったが
Aと会ってからAを可愛がるようになった
要するに、Aが村との関係の改善のきっかけとなった

まあ、いまでは、村長夫婦も子供に恵まれて
順風満帆のようだ

偶々かと思われるが、本当にAが産まれる
後では、うれしい誤算ばかりあったのだ

当の本人は、静かだと思えば木に登ったり仕事を率先して
やってくれたりと不思議な子に育っていったが...

子供達は変な方向に走り、Aを崇拝していた
まあこれも、彼女に助けてもらった子から始まったと聞いてるがな

まあ何故こんな話をしているかというと
それが全部狂ったのだ

Aが産まれてからは、数十年災害が酷くなく
災害が無かった年も何年もあったのに
一ヶ月で、雨による土砂崩れが立て続けにあり
地震での被害も多い

村では、若い娘の声が出なくなったり行方不明者が増えたり
災害による死者が増えたりと、てんてこ舞いだ

なにより火事で被害が大きいのは、言わずもがな
Aの両親であり、民族の長ある彼等

そんな彼等に、村長夫婦は心配して何も言わなかったが
村人はそんな村長夫婦を責めて、村は今や物騒になった

そろそろ潮時だろうな、荷物をまとめようとすると
長からの伝達が届いた