無題(タイトル募集) (ページ8)

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🚁白石side ページ8

Aの寛解導入療法も終わりを迎えようとしていた頃。

共に当直だった緋山先生に断りを入れ、私はAの病室を
訪れた。

緋山先生からもらった帽子をかぶって眠るわが子。
周りを見渡せば冴島さんから貰ったお菓子や、
藤川先生が置いていった漫画。
机の上に広がっているノートの赤い字は藍沢先生が教えてくれた跡だろう。

改めて我が子はたくさんの人に愛されて育ってきたんだなと感じた。

そして思い出すのは今日の当直前に受けたICのこと。

瀬戸「単刀直入に言いますと、染色体検査の結果
予後不良群でした。」
白石「今回寛解まで行ったとしても再発の可能性が高いということですよね……。」
瀬戸「はい…ですので地固め療法には造血幹細胞移植をおすすめします。」

移植。1度Aの持つ血液細胞を全て破壊して
新たな造血幹細胞を得て正常な造血ができるようにする治療。
これよりも強い抗がん剤を使うこと入院なり、
その他のリスクも高い。

医師としての自分は移植するしかないとわかっている。
だけど母としては……

決断できないでいた。