無題(タイトル募集) (ページ7)

今日:8 hit、昨日:7 hit、合計:4,095 hit

🚁緋山side ページ7

ある日の当直明け。
私は白石の娘、Aのところに行くことにした。

私の手で取り上げたのが昨日のように感じる。
産まれてからの検診はもちろん、
日々成長していく姿を近くで見ていたから
自分の娘のように思っている。

あの日、Aの病気がわかった日。白石はなぜ気づかなかったのかと自分を責めていたけど、それは私もだ。
あの子はどれだけ我慢していたのだろう。

病室のドアをノックすると、Aの可愛らしい声が返ってくる。

緋山「Aおはよ。来るの遅くなってごめんね。」
『あ、美帆ちゃん！じゃなくてここでは緋山先生か。』
緋山「別に美帆ちゃんでいいよ笑」

白石をそのまま中学生まで幼くしただけかと思うほど
瓜二つな親子。母親同様透き通った白い子だったけれど、
今はどちらかというと青白い。

緋山「調子はどう？」
『いくら食べてもお腹が空くの。あとさっきからなんだけど、ちょとなんだけどね頭痛い。』

頭痛い？ベッドサイドの血圧計をとり測ると少し血圧が高めだった。

緋山「血圧少し高めだね。まだ降圧剤はいいと思うけど、痛み止めでアセリオ入れよっか。」

瀬戸先生に了承を得て、小児科の看護師に点滴を繋いでもらった。

『だんだん効いてきた気がする。』
緋山「良かった。あ、そういえばこれ渡そうと思ったんだった。」

カバンから出した包みを渡すと、Aは遠慮がちに開け、
そして破顔させた。

『可愛い！帽子だー！』
緋山「何個か入ってるから気に入ったの使って。」

こんなことしか出来ないけど少しだけでもAの力になるといいなと思い、この間の休みに選んだ。