隆平side ページ40
目を開けた時、視界に入ってきた、裕ちん。
白く綺麗な肌を、ほんの僅かも遮らない、透明な涙が頬を伝っている。
そんな彼が背負っているんは、
薄暗い天井。
僕がさっきまでおった場所とは、打って変わって、
穏やかで、
静かな色や…。
僕は、
燃え盛る火の中におったはず。
蜜柑を、救助の手に引き渡した後、
ホッとして、
そして…
……
その後の記憶は、ない。
つまり意識が切れたんも、そこってこと？
ともあれ、僕は、
あの密室から、
解放されたんやなって、
理解した。
やっと、
こうしてメンバーとも…
あれ、でも、
隆「…仕事は」
沖縄へのロケは２泊３日のはず。
僕が意識を失った間に、
日数が経ってしもたんかな。
それなら、まだよかったんやけど、
裕ちんの口から出てきた言葉は、信じたくないものやった。
僕が行方不明になったて、連絡が来たから、
早めに戻ってきたんやて。
つまり、それは、
僕のせいで、
予定を狂わせてしもたってこと。
裕「帰りの便を一日早めただけや！仕事は全うしてきたで」
裕ちんは、僕の焦りを見抜いてか、困ったような笑みで、説明を加えた。
とはいっても、
お疲れ様の乾杯もしたかったやろうし、
ゆっくりもしたかったやろうに…。
申し訳なくて、唇をしまっていると、
裕ちんが遠慮がちに、僕の手に触れてきた。
ふと見れば、その腕には、点滴が刺さっていて、
体には所々、手当てした跡もある。
もしかして…
隆「裕ちん、助けようとしてくれたん？」
裕「当たり前やん。…まあ…実際にお前を救出したんは、消防隊員さんやったけどな」
あんな恐ろしい場所に？
死ぬかもしれへん場所に？
恐怖と罪悪感がドーっと、胸に流れ込む。
隆「それ病院着やろ？入院するほど酷いん？」
裕「ちゃうて。一時的に気ぃ失ったから、大事をとっただけで、もう何ともないねん」
裕ちんは、そう言って笑い、僕の頭をポンポンした。
その力加減は、あったかくて、
それ以上に、つらかった。
僕は、この優しい手の持ち主から、
命を取り去りかけたんや…。
隆「…ごめんな」
裕「謝ることないやろ？あ、マルが目覚ましたって、みんなにも連絡せな」
スマホを取り出し、操作し始める裕ちん。
諦めかけていた命は、
色んな人巻き込んで、こうして、留まれたわけやけど、
これで、よかったんかなって、
そんな気持ちも、
うごめいていた。
生きてて、
よかったんやろうかって。
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太陽丸(プロフ) - 凪沙さん» 凪沙さん！ありがとうございます★そんなこと言って頂けるなんて嬉しいです！終わりは自分でもまだ見えません…が、変わらずお付き合いいただけたら嬉しいなと思います！ (2018年7月17日 15時) (
レス) id: c53d241486 (このIDを非表示/違反報告)
凪沙(プロフ) - 突然失礼します。いつも更新楽しみにしてます。マルちゃんが助かりますように,と思いながら読ませてもらっています。マルちゃんを幸せにしてほしいっていう気持ちがあるけれどもっと太陽丸さんの小説を読みたいなとも思います。更新頑張ってください！ (2018年7月16日 8時) (レス) id: b3cf2c91ae (このIDを非表示/違反報告)
太陽丸(プロフ) - 詩暖さん» うわ〜！一気にとは！大変だったでしょう:(T-T):大切な時間を割いてお読み頂いて本当にありがとうございます(*^-^*)しんどいシーンも多いですが、これからも見守って頂けたら嬉しいですｏ(＾-＾)ｏ (2018年7月5日 20時) (レス) id: cfb77a5e73 (このIDを非表示/違反報告)
詩暖(プロフ) - 初めまして。この間、ようやく『逆光』シリーズを読み始めました……一気に読んだのですが、もうマルちゃんが救われますように……と祈るばかりです。すごく引き込まれます。これからの展開、楽しみです。無理なく更新してください。 (2018年7月5日 18時) (レス) id: 4736f0cf92 (このIDを非表示/違反報告)
太陽丸(プロフ) - ひなばるさん» ありがとうございます！回りくどくて情報過多で、分かりづらくないかなあと不安になっていたので、楽しみにしてくださると言っていただき、とても励みになります！これまでも酷な出来事がいっぱい起きてきていますが、どうか最後まで見守っていただけたらと思います (2018年7月1日 8時) (レス) id: c53d241486 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：太陽丸 | 作成日時：2018年6月19日 14時
