忠義side ページ32
明里ちゃんと並んで、
空港まで見送ってくれたマルちゃん。
あれから、まだ二日も経ってへん…。
ニコニコして、手振ってくれたんに…
なんで、
こんな姿で、再会することになってしもたんやろ。
呼吸が弱ってるってことで、
さっき、横山くんも着けられていた、酸素マスクが固定される。
傷だらけの顔には、その接触すらも痛そう…。
服も、上部分の半分ほどが焼け消えて、
まるで、ボロ切れを羽織っているようやった。
救急隊が腕に触れると、
激しくうめき声をあげるマルちゃん。
「折れてるな…」
「下敷きだったから」
隊員の、小声のやり取りに耳を立てる。
骨折してしもたん？
屋根が落ちてきて？
こうして、意識は残しているわけやから、
身を裂かれるような痛みを、ずっと感じていたんか。
かわいそうに。
何でマルちゃんを、こんな苛めんねん…。
章「マル、僕らおるで！ここおるからな」
隊員の間から、ヤスが呼びかけると、
マルちゃんは、ハッとしたように、
声の発せられた方向、
つまり俺たちに、顔を向けた。
瞼は、剥がせへんままやったけど、
骨折してへん左手を、宙に泳がせ始めたんや。
隆「…みん…な…」
す「大丈夫や、もう心配すな」
隆「…こっち…来…」
手を彷徨わせているマルちゃんの姿は、
もう、一時でも独りぼっちにさせてはいけないような、
そんな脆さに満ちていて…。
思わず手を伸ばすと、
見えへんはずの俺の手を、ガシっと掴んでくるマルちゃん。
それは、振り払えないくらいに、強かったし、
俺も、放す気はなかった。
結局、
隊員も、最初こそ、俺に離れるように言うてきたけど、
マルちゃんの手の、その力強さに折れ、
俺をそばにいさせてくれた。
俺の後ろには、すばるくんとヤスが立つ。
明里ちゃんは、近寄れずにいるみたい…。
す「救急車、まだかな」
最初、救急車は２台待機しとったのに、
あの女たちが乗ってもうたから、
今ここには、一台もないねん。
間もなく来るって話ではあるけど、
一秒すら、もどかしいこの状況。
じれったくてたまらなかった。
目の前で、応急処置を受けているマルちゃん。
その口が、震えながら、動き出した。
隆「…て」
忠「ん？何？」
隆「トイレ行く…連れて…て…」
そんな…この状況で言われても…。
す「マル、今は無理やて」
隆「…連れてって…」
マルちゃんは、表情を歪めながら、
俺の手を、強く、握りしめてきた。
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太陽丸(プロフ) - 凪沙さん» 凪沙さん！ありがとうございます★そんなこと言って頂けるなんて嬉しいです！終わりは自分でもまだ見えません…が、変わらずお付き合いいただけたら嬉しいなと思います！ (2018年7月17日 15時) (
レス) id: c53d241486 (このIDを非表示/違反報告)
凪沙(プロフ) - 突然失礼します。いつも更新楽しみにしてます。マルちゃんが助かりますように,と思いながら読ませてもらっています。マルちゃんを幸せにしてほしいっていう気持ちがあるけれどもっと太陽丸さんの小説を読みたいなとも思います。更新頑張ってください！ (2018年7月16日 8時) (レス) id: b3cf2c91ae (このIDを非表示/違反報告)
太陽丸(プロフ) - 詩暖さん» うわ〜！一気にとは！大変だったでしょう:(T-T):大切な時間を割いてお読み頂いて本当にありがとうございます(*^-^*)しんどいシーンも多いですが、これからも見守って頂けたら嬉しいですｏ(＾-＾)ｏ (2018年7月5日 20時) (レス) id: cfb77a5e73 (このIDを非表示/違反報告)
詩暖(プロフ) - 初めまして。この間、ようやく『逆光』シリーズを読み始めました……一気に読んだのですが、もうマルちゃんが救われますように……と祈るばかりです。すごく引き込まれます。これからの展開、楽しみです。無理なく更新してください。 (2018年7月5日 18時) (レス) id: 4736f0cf92 (このIDを非表示/違反報告)
太陽丸(プロフ) - ひなばるさん» ありがとうございます！回りくどくて情報過多で、分かりづらくないかなあと不安になっていたので、楽しみにしてくださると言っていただき、とても励みになります！これまでも酷な出来事がいっぱい起きてきていますが、どうか最後まで見守っていただけたらと思います (2018年7月1日 8時) (レス) id: c53d241486 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：太陽丸 | 作成日時：2018年6月19日 14時
