あなたside ページ29
消防車、救急車…
何台もの緊急車両が、
火と同じ色の光を発し、
夜を照らす。
絶えない、不穏なざわめきの中、
重装備で身を固めた人々が、
炎に向かって、
消火剤で応戦する。
あの中は、今、
人間の命が耐えられる、その範囲を超えた世界になっているって、
嫌でも予感させられる。
なぜ、
そんな所に、隆平さんと横山さんがいるの？
隆平さん、
まさか、ずっと、この場所に？
あなたの居場所を知りたくて、知りたくて、もがいていた私の、
こんなすぐそばに、
いたの？
私が、
周りなんて信じずに、
捜し続けていれば…
章「明里ちゃん、大丈夫。大丈夫やで」
やがて、腰を抜かした私と共に、地面に屈み、
抱きとめてくれた、安田さん。
でも、
燃えたぎる悪魔を映し続けるその瞳は、
確かに、恐怖に満ちていた。
ロープまで張られて、
引き下がるように命じられた人々は、
遠くから、その様子を見守ることしか、できずにいる。
ロープギリギリの所で、前のめりになっている、あの後ろ姿は、錦戸さんだ。
村上さんが、彼の肩を、何度も引き戻して、
渋谷さんは、一歩、下がったところで、立ち往生している。
やがて…
焼かれた屋根が、音を立てて、
呆気なく、崩れた。
私たちの大切な人たちのいるはずの、
その場所で。
明里「いや…いやあああ！！」
もう、
おしまいだって、
こんな惨状を目の当たりにしてしまったら、
絶望する以外の感情なんて、
出てこない…。
忠「まるちゃん！よこやまくんっ！」
激しく泣き叫ぶ声は、すぐ横からも響いてきた。
章「落ち着いて。ほら、少しずつ弱まってきてる！」
今更…
火の勢いがどうなろうと、
もう…。
章「救急隊の人が入っていったで！」
倒れ込んだ私を支えたまま、現場に向かって目を凝らして、
得た状況を、伝えてくれる安田さん。
忠「お願い…死なんといて…」
搾りだすような、大倉さんの涙声に、
息が止まる。
『死』という、
この世で唯一の、
取り返しのつかない事態。
それが、
大切な人たちの身に、
降りかかろうとしている…？
亮「！！よかーまくんっ！！」
そんな絶望の中、ロープを乗り越えて、
現場に走り出す錦戸さんの姿が見えた。
今度は、村上さんもそれを止めず、
それどころか、自分も一緒になって、
ロープを飛び越える。
彼らが駈け寄った先には、
担架のようなものに横たわった、
横山さんの姿が、あった…。
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太陽丸(プロフ) - 凪沙さん» 凪沙さん！ありがとうございます★そんなこと言って頂けるなんて嬉しいです！終わりは自分でもまだ見えません…が、変わらずお付き合いいただけたら嬉しいなと思います！ (2018年7月17日 15時) (
レス) id: c53d241486 (このIDを非表示/違反報告)
凪沙(プロフ) - 突然失礼します。いつも更新楽しみにしてます。マルちゃんが助かりますように,と思いながら読ませてもらっています。マルちゃんを幸せにしてほしいっていう気持ちがあるけれどもっと太陽丸さんの小説を読みたいなとも思います。更新頑張ってください！ (2018年7月16日 8時) (レス) id: b3cf2c91ae (このIDを非表示/違反報告)
太陽丸(プロフ) - 詩暖さん» うわ〜！一気にとは！大変だったでしょう:(T-T):大切な時間を割いてお読み頂いて本当にありがとうございます(*^-^*)しんどいシーンも多いですが、これからも見守って頂けたら嬉しいですｏ(＾-＾)ｏ (2018年7月5日 20時) (レス) id: cfb77a5e73 (このIDを非表示/違反報告)
詩暖(プロフ) - 初めまして。この間、ようやく『逆光』シリーズを読み始めました……一気に読んだのですが、もうマルちゃんが救われますように……と祈るばかりです。すごく引き込まれます。これからの展開、楽しみです。無理なく更新してください。 (2018年7月5日 18時) (レス) id: 4736f0cf92 (このIDを非表示/違反報告)
太陽丸(プロフ) - ひなばるさん» ありがとうございます！回りくどくて情報過多で、分かりづらくないかなあと不安になっていたので、楽しみにしてくださると言っていただき、とても励みになります！これまでも酷な出来事がいっぱい起きてきていますが、どうか最後まで見守っていただけたらと思います (2018年7月1日 8時) (レス) id: c53d241486 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：太陽丸 | 作成日時：2018年6月19日 14時
