章大side ページ28
一キロもない距離で、大惨事が起きているんを知ったんは、
緊急車両が、けたたましいサイレンと共に、敷地内に入ってきてからのこと。
最初は、野次馬する気なんかなかった。
僕らが行ったところで、邪魔になるだけや思ったし。
でも、戸を開けて、
庭で話し込んでいるはずの、メンバーと、水坂さんの姿がないことに気づくと、
僕も明里ちゃんも、
途端に、嫌な予感を抱いて、
その緊急車両を、追いかけていったんや。
章「これも、コテージやんな？」
煙に覆われて、形は、ほぼ見えてへんけど、
建物が燃えていることは確かやし、
この敷地内に存在するんは、コテージだけや。
重そうな消防服を身に着けた人たちが、
そこにホースを向け、
真っ白な消火剤を、すごい勢いで噴射している。
それにも屈さず、モクモク噴き出す煙と、
立ち上る炎…。
ボヤのレベルなんか、とうに超えてることくらいは、
僕にも理解できた。
明里「あ！大倉さん！」
その激しさに呆然としていると、
明里ちゃんが、突然、声を上げた。
彼女の視線を追っかけてみれば、
確かに、明里ちゃんに名を呼ばれた人物がおって…。
忠「ヤスッ…明里ちゃん」
何人かと一緒になって、男の人を押さえつけているおーくら。
あれは、佐々屋？
何か暴れてるやん。
章「おーくら、どうしたん…」
忠「まるちゃんが、火事の中に」
おーくらの口から出たんは、
ずっと知りたかった、
マルの居場所。
でも、
それが、目の前で燃え盛る火の中やなんて聞いて…
喜べるはずも、なく…
明里「…りゅ…りゅへ…いさん」
僕の方に倒れ込む明里ちゃん。
支えたその体は、けいれんのようなレベルで、震えていた。
けど、おーくらは、そんなんも目に入ってへん様子で、
悔しそうに顔を歪ませ、
訴えてきた。
忠「ついさっき、横山くんが…入っていった。まるちゃん…助けに」
章「じゃ、今、マルとヨコちょがあの中に？」
忠「おん…」
あの中に今、
僕らの仲間が、二人も？
…何をしたらええん？
仲間の命が、こんな危機にさらされているんに、
佇むしかできひんなんて…。
忠「あ！危ない！」
おーくらの叫びの直後、
地面を震わす、衝撃が走り、
爆音が耳に刺さった。
それは、
まだ残っていた屋根が、
崩れ落ちた、音。
まるで、
絶望を擬音化したかのような、
そんな残酷さを、抱え込み、
新たな炎が噴き上げられた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 88人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「関ジャニ∞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
太陽丸(プロフ) - 凪沙さん» 凪沙さん！ありがとうございます★そんなこと言って頂けるなんて嬉しいです！終わりは自分でもまだ見えません…が、変わらずお付き合いいただけたら嬉しいなと思います！ (2018年7月17日 15時) (
レス) id: c53d241486 (このIDを非表示/違反報告)
凪沙(プロフ) - 突然失礼します。いつも更新楽しみにしてます。マルちゃんが助かりますように,と思いながら読ませてもらっています。マルちゃんを幸せにしてほしいっていう気持ちがあるけれどもっと太陽丸さんの小説を読みたいなとも思います。更新頑張ってください！ (2018年7月16日 8時) (レス) id: b3cf2c91ae (このIDを非表示/違反報告)
太陽丸(プロフ) - 詩暖さん» うわ〜！一気にとは！大変だったでしょう:(T-T):大切な時間を割いてお読み頂いて本当にありがとうございます(*^-^*)しんどいシーンも多いですが、これからも見守って頂けたら嬉しいですｏ(＾-＾)ｏ (2018年7月5日 20時) (レス) id: cfb77a5e73 (このIDを非表示/違反報告)
詩暖(プロフ) - 初めまして。この間、ようやく『逆光』シリーズを読み始めました……一気に読んだのですが、もうマルちゃんが救われますように……と祈るばかりです。すごく引き込まれます。これからの展開、楽しみです。無理なく更新してください。 (2018年7月5日 18時) (レス) id: 4736f0cf92 (このIDを非表示/違反報告)
太陽丸(プロフ) - ひなばるさん» ありがとうございます！回りくどくて情報過多で、分かりづらくないかなあと不安になっていたので、楽しみにしてくださると言っていただき、とても励みになります！これまでも酷な出来事がいっぱい起きてきていますが、どうか最後まで見守っていただけたらと思います (2018年7月1日 8時) (レス) id: c53d241486 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：太陽丸 | 作成日時：2018年6月19日 14時
