すばるside ページ27
結局、
マルだけが、取り残された。
ほんまは、助けに向かいたい。
でも、延焼が進んだこの状況では、
そんな行為、死にに行くようなもんや。
下手すれば、救助活動の妨げになるかもしれへん。
その時間ロスが、マルの生死を分けてまうことやって、ありうる。
消防車の到着も、そう先のことではないやろうし、
非情かもしれへんけど、
こうなってもうた今、周りは大人しく引き下がって、
プロに任せるんが、一番賢明な判断やと、
俺は思った。
けど…
この、過剰に弟思いの長男の中に、
そんな選択肢は、なかったようで…。
裕「一緒におった言うたな？」
ふらつきながら立ち上がったヨコは、救出した女の子の肩を強く掴んだ。
「は、はい」
裕「君がおった場所に、マルもおるんやな！？」
「います」
裕「分かった」
そう言うとヨコは、さっきよりも脆く危険な場と化した、地獄の方向へと、迷いなく踵を返す。
これはヤバイと思った俺は、
その背中を追いかけ、全力でしがみついた。
す「アカンて！」
裕「放せや！マルのおるところ潰れそうやねん！それにっ…それにアイツは、足動かせへんねんで！」
分かってる。
自力での移動が困難なマルは、
他の誰が取り残されるよりも、
ずっと、危険に近い場所におるって。
でも…
亮「じゃ俺が行く！そんな体力消耗した奴が行ったって、役になんか立たん！」
裕「ちゃんと場所を把握してんのは俺だけや！」
とても『体力消耗』しているとは思えへん力で、俺の腕を振り切り、
ヨコは、
猛スピードで、煙の中に消えていった。
あのアホ。
死ぬで…。
ほんまに死ぬでっ！
信「大丈夫や」
入れ替わるようにして、足を引きずって現れたんは、
離れた所で休ませておいたヒナやった。
亮「むらかみくん！」
眉をハの字にして、亮が、そのボロボロの姿に駈け寄る。
亮「火傷したん？大丈夫？」
信「こんなん何でもないわ」
ガサツゴリラらしく、笑い飛ばすヒナ。
信「すばる、亮」
ヒナは亮の頭を撫でつつ、
俺たちの名前を呼んできた。
信「大丈夫や。俺らは最高で最強の、関ジャニ∞やん」
死を連想させる黒煙と炎を背景にして、
ヒナの八重歯が、笑みを作る。
亮「俺も…無事やて、しんじる」
いつの間にか泣いていた亮が、袖で目をこすり出した。
その震えた願いにうなずくかのように、
赤く大きな緊急車両が、
不安をあおる、あの雄たけびを上げながら、
俺たちの元に、姿を現した。
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太陽丸(プロフ) - 凪沙さん» 凪沙さん！ありがとうございます★そんなこと言って頂けるなんて嬉しいです！終わりは自分でもまだ見えません…が、変わらずお付き合いいただけたら嬉しいなと思います！ (2018年7月17日 15時) (
レス) id: c53d241486 (このIDを非表示/違反報告)
凪沙(プロフ) - 突然失礼します。いつも更新楽しみにしてます。マルちゃんが助かりますように,と思いながら読ませてもらっています。マルちゃんを幸せにしてほしいっていう気持ちがあるけれどもっと太陽丸さんの小説を読みたいなとも思います。更新頑張ってください！ (2018年7月16日 8時) (レス) id: b3cf2c91ae (このIDを非表示/違反報告)
太陽丸(プロフ) - 詩暖さん» うわ〜！一気にとは！大変だったでしょう:(T-T):大切な時間を割いてお読み頂いて本当にありがとうございます(*^-^*)しんどいシーンも多いですが、これからも見守って頂けたら嬉しいですｏ(＾-＾)ｏ (2018年7月5日 20時) (レス) id: cfb77a5e73 (このIDを非表示/違反報告)
詩暖(プロフ) - 初めまして。この間、ようやく『逆光』シリーズを読み始めました……一気に読んだのですが、もうマルちゃんが救われますように……と祈るばかりです。すごく引き込まれます。これからの展開、楽しみです。無理なく更新してください。 (2018年7月5日 18時) (レス) id: 4736f0cf92 (このIDを非表示/違反報告)
太陽丸(プロフ) - ひなばるさん» ありがとうございます！回りくどくて情報過多で、分かりづらくないかなあと不安になっていたので、楽しみにしてくださると言っていただき、とても励みになります！これまでも酷な出来事がいっぱい起きてきていますが、どうか最後まで見守っていただけたらと思います (2018年7月1日 8時) (レス) id: c53d241486 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：太陽丸 | 作成日時：2018年6月19日 14時
