SAKURAside ページ15
歩行器を壊すなんて、そんなことまでしなくていいのに。
何時間も、身動き取れないでいたんだもの。
そりゃ、お手洗いだって行きたくなるわよ。
ファンの子の前で、訴えざるをえなくさせて、
涙まで流させて、かわいそうに。
あの子も、ずっと来てくれていないしね。
休憩時間はとってあげてほしいって、懇願してきたのは、自分なのに。
無責任なヘルパーね。
ファンの子たちは、車椅子を持ってきてくれたけれど、、
彼は、思うように力がかけられず、立ち上がることさえ難しそう。
「何だよ、歩行器が無事だろうが壊れようが、関係なかったんじゃね？」
笑い出すADたち。
紫と赤の服を着た女の子たちまで、つられる様に笑っている。
子供のイジメ光景そのものね。
「まるちゃん、大丈夫？」
隆「…っ…」
当の本人は、相当深刻なご様子。
うずくまって、過呼吸まで起こしてしまっていた。
不安と苦しみのあまり、大量に流される涙と鼻水は、
汚らしく、床に滴り落ちているし…。
ひどい姿…。
さすがに同情しちゃうわ。
アイドルという名誉や立場を、知っている者としては、こう思う。
もうこうなってしまっては、いっそ死んだほうが、救われるはず、と。
それに、
彼がこの世から消えれば、
西野明里を、一気に絶望に追い込むことができる。
アイドルとしての彼のプライド。
これ以上、壊さないように、
…そろそろ、
実行に移しましょうか。
私は、そっと、コテージを後にした。
この状況で、それに気づく者は、
いない。
内側からは解錠できないロックを掛けてしまえば、
これで、もう、
この中にいる人たちは、運命共同体。
ご愁傷さま。
私は、建物の裏側に回り、
空けておいた小窓の前で立ち止まった。
足元には、
準備しておいた、水入りのバケツ。
そして、この小窓の向こう側は、
キッチン。
ちょうど良いころね。
煙を吐き出している、フライパンを見て、
ほくそ笑む。
フライパンには、大量の油が注がれ、
コンロの火に、熱せられている。
発火も時間の問題だろうけど、
でも、さっさと、やってしまおう。
彼が、
これ以上、惨めな思いをしないうちに…ね。
大丈夫。
あなたを傷つけた外道どもも、
ちゃーんと、
巻き添えにするから。
「さよなら」
私は、自身の発した、そんな言葉をスタートの合図とし、
コップですくったバケツの水を、
今にも発火点に達しそうな、油に向けて、
送り出した。
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太陽丸(プロフ) - 凪沙さん» 凪沙さん！ありがとうございます★そんなこと言って頂けるなんて嬉しいです！終わりは自分でもまだ見えません…が、変わらずお付き合いいただけたら嬉しいなと思います！ (2018年7月17日 15時) (
レス) id: c53d241486 (このIDを非表示/違反報告)
凪沙(プロフ) - 突然失礼します。いつも更新楽しみにしてます。マルちゃんが助かりますように,と思いながら読ませてもらっています。マルちゃんを幸せにしてほしいっていう気持ちがあるけれどもっと太陽丸さんの小説を読みたいなとも思います。更新頑張ってください！ (2018年7月16日 8時) (レス) id: b3cf2c91ae (このIDを非表示/違反報告)
太陽丸(プロフ) - 詩暖さん» うわ〜！一気にとは！大変だったでしょう:(T-T):大切な時間を割いてお読み頂いて本当にありがとうございます(*^-^*)しんどいシーンも多いですが、これからも見守って頂けたら嬉しいですｏ(＾-＾)ｏ (2018年7月5日 20時) (レス) id: cfb77a5e73 (このIDを非表示/違反報告)
詩暖(プロフ) - 初めまして。この間、ようやく『逆光』シリーズを読み始めました……一気に読んだのですが、もうマルちゃんが救われますように……と祈るばかりです。すごく引き込まれます。これからの展開、楽しみです。無理なく更新してください。 (2018年7月5日 18時) (レス) id: 4736f0cf92 (このIDを非表示/違反報告)
太陽丸(プロフ) - ひなばるさん» ありがとうございます！回りくどくて情報過多で、分かりづらくないかなあと不安になっていたので、楽しみにしてくださると言っていただき、とても励みになります！これまでも酷な出来事がいっぱい起きてきていますが、どうか最後まで見守っていただけたらと思います (2018年7月1日 8時) (レス) id: c53d241486 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：太陽丸 | 作成日時：2018年6月19日 14時
