蜜柑side ページ14
歩行器は、床に叩きつけられた衝撃で、
キャスターが、回らなくなってしまった。
「蜜柑、やめなって」
振り向き、見上げてみれば、葡萄さんが腕をこまねいている。
「アンタもこっちで見学してなよ。面白いことになりそうじゃん」
苺さんに至っては、この状況を楽しんでいた。
「面白いことってｗ残酷なファンだねえ」
そう言うADたちも、同じような目をしている。
まるちゃんが、壊れるのを、
待ち望んでいるかのように…。
何なの？
この人たち、何なの？
私は今更ながら、
彼女たちの、異常度にゾッとした。
なぜ、私は…
こんな人たちに、怯えていたの？
まるちゃんにこうして駈け寄るまでの間、
私を邪魔していた、ためらいは、何？
私は、
さっきまでの自分の迷いすら、意味が分からなくなっていた。
何で、この人たちの背中に隠れて、
怯え、傷つくまるちゃんを、ずっと見ていられたの？
大好きなまるちゃんなのに…。
自分が、腹立たしい。
「蜜柑！」
悔しさに、唇を噛みしめた時、
バタバタとやってきたのは、檸檬ちゃん。
何か、大きな椅子を引きずっている。
「これ、お風呂にあった！まるちゃんのでしょ？」
それは、車椅子だった。
あ…。
これがあれば…！
「まるちゃん！これに乗ろ！」
檸檬ちゃんも、私と同じだった。
葡萄さんと苺さんからの圧力に、
押さえこまれてしまっていただけ…。
でも今は、
私と一緒に、まるちゃんを助けようとしてくれている。
この理不尽な大人たちが作り上げた、茨を掻き分けて、
その痛みに、突き刺されながら、一人、まるちゃんの元に向かった私。
不安だった。
自分が何をされるか分からないもの。
でももう大丈夫。
味方が、
味方が、来てくれた。
「檸檬ちゃん」
「まるちゃん、これ乗ろ。私たちに掴まって」
隆「…ありがとう…ごめんね…」
袖で、涙を拭い、
こんな時にまで、笑みを向けてくれる、まるちゃん。
いつも私を救ってくれた、この優しい笑顔。
今度は私が、
あなたを救うからね…。
トイレはすぐそこにあるし、
ここはバリアフリー対応の宿みたいだし、
車椅子に乗れさえすれば、きっと…。
目の前に持ってきた車椅子。
それを目指して、
震えて汗ばんだ手が、私と檸檬ちゃんの腕を掴み、腰を床から離そうとした。
けれど…
「まるちゃんっ！」
まるちゃんは、
立ち上がることもできず、
再び、崩れてしまった。
痛そうな表情を浮かべながら。
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太陽丸(プロフ) - 凪沙さん» 凪沙さん！ありがとうございます★そんなこと言って頂けるなんて嬉しいです！終わりは自分でもまだ見えません…が、変わらずお付き合いいただけたら嬉しいなと思います！ (2018年7月17日 15時) (
レス) id: c53d241486 (このIDを非表示/違反報告)
凪沙(プロフ) - 突然失礼します。いつも更新楽しみにしてます。マルちゃんが助かりますように,と思いながら読ませてもらっています。マルちゃんを幸せにしてほしいっていう気持ちがあるけれどもっと太陽丸さんの小説を読みたいなとも思います。更新頑張ってください！ (2018年7月16日 8時) (レス) id: b3cf2c91ae (このIDを非表示/違反報告)
太陽丸(プロフ) - 詩暖さん» うわ〜！一気にとは！大変だったでしょう:(T-T):大切な時間を割いてお読み頂いて本当にありがとうございます(*^-^*)しんどいシーンも多いですが、これからも見守って頂けたら嬉しいですｏ(＾-＾)ｏ (2018年7月5日 20時) (レス) id: cfb77a5e73 (このIDを非表示/違反報告)
詩暖(プロフ) - 初めまして。この間、ようやく『逆光』シリーズを読み始めました……一気に読んだのですが、もうマルちゃんが救われますように……と祈るばかりです。すごく引き込まれます。これからの展開、楽しみです。無理なく更新してください。 (2018年7月5日 18時) (レス) id: 4736f0cf92 (このIDを非表示/違反報告)
太陽丸(プロフ) - ひなばるさん» ありがとうございます！回りくどくて情報過多で、分かりづらくないかなあと不安になっていたので、楽しみにしてくださると言っていただき、とても励みになります！これまでも酷な出来事がいっぱい起きてきていますが、どうか最後まで見守っていただけたらと思います (2018年7月1日 8時) (レス) id: c53d241486 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：太陽丸 | 作成日時：2018年6月19日 14時
