章大side ページ35
明里ちゃんとの通話中、
車椅子から身を乗り出したマルに、スマホを奪われた。
車椅子から落ちてまうんやないかって、
そう思ってしまうほどの勢いやった。
マルは、明里ちゃんに、思い出したか？とか確認した後、
肩を落として、うつむいて、
今度は、クスンクスンて鼻をすすり出した。
章「マル、どしてん？」
ついさっきまでの、ひなりょに向かっていた迫力はどこへ。
今にも壊れそうな、もろい後ろ姿に、
胸が絞めつけられるようやった。
やがて、謝り出すマル。
どうやら、明里ちゃんが、あの時のことを思い出してしもたことに対しての謝罪みたいやな。
事件が公になったことで、
明里ちゃんの記憶が戻る、きっかけになってしもたって。
そら、
目の前で、マルが階段から突き落とされたシーンなんて、
明里ちゃんにとっては、大ダメージやろう。
その衝撃のあまり、失った記憶でもあったやろうし。
裕「まる…」
ヨコちょが後ろから、そっとマルの肩に手を置くと、
スマホは、マルの手をすり抜けるように、
その膝に落ちていった。
章「明里ちゃん、代わったで」
僕はスマホを拾い上げ、再び耳に当てた。
明里『安田さん…隆平さんは』
明里ちゃんも明里ちゃんで、
マルの方を、心配してるみたいやな…。
章「心配せんでええよ。明里ちゃんこそ、大丈夫？」
明里『はい…あの、今日はちょっと家で休もうと思って』
章「それがええよ。一人でおれる？僕、行こか？」
明里『大丈夫です…。あの、隆平さんに』
章「ん？」
明里『抵抗できなかった私が悪かったんだから、隆平さん、何も悪くないからって伝えてください』
抵抗？
明里『あの人たちにされたことは、大丈夫ですって』
あの人たちって？
どういうこと？
明里ちゃんも、何かされたん？
問いただしたかったけど、
震え、蒼ざめてるマルの前で、話し続けちゃアカンような気がしたから、
僕は、分かったとだけ言うて、
通話を切った。
忠「まるちゃん」
髪が垂れるほどに、うつむいたマルの顔を、
そっと覗いたおーくら。
マルは、
胸押さえていた。
肩が上下に揺れて、
その速度は増していく。
亮「過呼吸やないか？」
裕「まる、おっきく息吐けるか？」
嗚咽をもらしながらも、さっきまでは、ちゃんととどまっていたマルの涙が、
その浅い呼吸に合わせ、
何滴も、落ちていった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 90人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
INFINITY(プロフ) - いつも楽しみに見せていただいてます。閲覧希望よろしくお願いします！ (2019年5月20日 1時) (
レス) id: 8ddd0f17c0 (このIDを非表示/違反報告)
太陽丸(プロフ) - まとめてしまって申し訳ありません。こちらのページから友達申請をして頂けますでしょうか？→https://commu.nosv.org/bbs/bebe0725 (2019年5月19日 7時) (レス) id: c53d241486 (このIDを非表示/違反報告)
カナマル - 閲覧希望します！ (2019年5月18日 22時) (レス) id: cf75a14418 (このIDを非表示/違反報告)
すずまる(プロフ) - 閲覧希望です (2019年5月18日 9時) (レス) id: e1b3b87754 (このIDを非表示/違反報告)
あすか - はじめまして いつも楽しみにしております 閲覧希望です 宜しくお願いします (2019年5月18日 4時) (携帯から) (レス) id: c42cace51b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：太陽丸 | 作成日時：2019年3月24日 7時
