あなたside ページ34
ネットニュースを見て、
私は、思い出してしまった。
あの転落事故当日のことを。
あの時感じた、体の強張り、鼓動、震え、
真っ白になった視界。
全て、思い出せてしまった。
そのダメージが強すぎて、
今日は、村上さん家に、行けそうもない…。
私はそれを伝えるため、
安田さんに電話をかけていた。
みんな、集まっているかな…。
どんな空気になっているの？
隆平さん、大丈夫かな。
章「もしもし〜」
痛みを感じるほどに、重く凝り固まった気持ちは、
返ってきた、柔らかな口調に、
優しく、溶かされて、
その溶けた物は、瞼から、ぽとぽと落ちて行った。
章「もしもーし、明里ちゃん？…え？あ、マル何？」
声を詰まらせた私に、何度か呼びかけた後、
突然、安田さんの口調が速まって、そして遠ざかり…
隆「明里ちゃん！」
耳を叩いてきたのは、
隆平さんの声だった。
隆「思い出したん？」
不安の鼓動が聴こえてくるような、
その切羽詰まった問いかけ。
明里「…ん…」
かすかに出せた震えの声で、
うなずきを伝える私。
隆「全部？」
明里「ん…」
落胆の顔が見える、ため息が、
耳から、胸に落ちていく。
そこから、
どれくらいの沈黙があったか…
『マル、どしてん…』
安田さんの心配そうな声がしたかと思ったら、
しばらく止まっていた隆平さんの、声が、
…声というか、小さな嗚咽が、
電波を伝って、弱々しく私の元に辿り着いてきた。
隆「怖いの、思い出させてしもて…ごめんな…。そばにいたんに、守れなくて…。あんなこと…」
隆平さんは、
今、私の中で暴れ回っている、恐怖と怒りと悲しみの原因を、
私があいつらに襲われかけた場面、だと、思っているようだった。
でも隆平さん、
私はね、
過去の恐怖体験を彷彿させる、
『私』がされた、あの出来事以上に、
『隆平さん』が、あいつらにされたことを思い出して、
今、震えあがっているんだよ。
私を守ろうとして、車椅子でやってきた隆平さん。
それを突き飛ばしたShinys。
車椅子から投げ出され、
転がり落ち、
強く頭を打ち付けた隆平さん。
流れる血。
失っていく意識。
隆平さんの命が遠ざかっていく恐怖感。
頭の中で、エンドレスで流れ続けるのは、
その映像ばかり。
私を守ろうとしなければ、
隆平さん、あんな目に、遭わなかった。
ごめんなさいを言いたいのは、私の方だよ…。
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INFINITY(プロフ) - いつも楽しみに見せていただいてます。閲覧希望よろしくお願いします！ (2019年5月20日 1時) (
レス) id: 8ddd0f17c0 (このIDを非表示/違反報告)
太陽丸(プロフ) - まとめてしまって申し訳ありません。こちらのページから友達申請をして頂けますでしょうか？→https://commu.nosv.org/bbs/bebe0725 (2019年5月19日 7時) (レス) id: c53d241486 (このIDを非表示/違反報告)
カナマル - 閲覧希望します！ (2019年5月18日 22時) (レス) id: cf75a14418 (このIDを非表示/違反報告)
すずまる(プロフ) - 閲覧希望です (2019年5月18日 9時) (レス) id: e1b3b87754 (このIDを非表示/違反報告)
あすか - はじめまして いつも楽しみにしております 閲覧希望です 宜しくお願いします (2019年5月18日 4時) (携帯から) (レス) id: c42cace51b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：太陽丸 | 作成日時：2019年3月24日 7時
