由奈side ページ11
どうしてもトイレに行ってくれない隆ちゃんの体が心配で、
私は、彼が求め続けるナースに、電話をしていた。
できれば、彼女を隆ちゃんに近寄らせたくはないけれど、
今回はやむを得ない。
連絡を受けた彼女は、消灯してから出勤し、
私との約束通り、隆ちゃんの病室に向かってくれた。
不安がないと言えば嘘になるけれど、
大丈夫だよね。
急な夜勤にも、こうして駆け付けてくれたわけだし、
色々な問題はあっても、
隆ちゃんにとっては、
『良いナース』をしているわけだから。
でも、
それが、私の『油断』だと知ったのは、
曽根さんが向かってから、10分ほど経ち、
足の不自由な高齢の患者さんから、ナースコールを受けた時のことだった。
「どうされました？」
ナースステーションの中から、応答する。
『何だか、廊下から助けてって聞こえるんだよ』
「え」
ふいに嫌な予感が胸を走った。
『様子見に行こうにも行けないから、看護師さんに言ったほうがいいかと思って』
「ありがとうございます。すぐ見て来ますね」
すぐさま、私は廊下に出た。
コールをくれた患者さんの病室方向に向かって、
足を進めていく。
そして間もなく、
私の耳にも、その叫びは響いてきた。
自然と、自分の足音の間隔が、縮んでいく。
辿り着いたのは、
隆ちゃんの病室の前だった。
車椅子に乗って、動かそうとしている隆ちゃん。
隆「由奈ちゃ…助け…」
鼻水まで流して、子供のように、泣きじゃくっている。
「どうしたの？曽根さんは？」
隆「嫌や！あの人怖い！早よ家帰りたい！」
「隆ちゃん、落ち着いて」
とりあえずお手洗いに連れて行こう、そう思った時、
隆ちゃんの足元が、水浸しになっていった。
相当強かっただろう尿意も忘れてしまうほどに、
取り乱していたんだ。
隆「あ…ごめ…ごめんな、さ…」
そして、失禁してしまったことが、彼に更なるパニックを与えたのか、
蒼ざめて、頭を抱え、首をブンブン振り始めた。
「大丈夫よ。部屋に戻ろ」
横にしゃがみ、見上げた先にあった隆ちゃんの顔には、
汗のせいか、髪が張り付いていて、
そのすき間からは、きつく閉じた瞼が見えた。
触れた背中は、震えていて、
まだ熱があるのだろうに、冷え切っている。
この恐怖は、
一体…
尋常じゃなく怯えた様子の隆ちゃんを前に、私も動揺していると、
突然、
目の前に、隆ちゃんの姿を消すように、
滝のような勢いで、
水が、降ってきたんだ…。
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INFINITY(プロフ) - いつも楽しみに見せていただいてます。閲覧希望よろしくお願いします！ (2019年5月20日 1時) (
レス) id: 8ddd0f17c0 (このIDを非表示/違反報告)
太陽丸(プロフ) - まとめてしまって申し訳ありません。こちらのページから友達申請をして頂けますでしょうか？→https://commu.nosv.org/bbs/bebe0725 (2019年5月19日 7時) (レス) id: c53d241486 (このIDを非表示/違反報告)
カナマル - 閲覧希望します！ (2019年5月18日 22時) (レス) id: cf75a14418 (このIDを非表示/違反報告)
すずまる(プロフ) - 閲覧希望です (2019年5月18日 9時) (レス) id: e1b3b87754 (このIDを非表示/違反報告)
あすか - はじめまして いつも楽しみにしております 閲覧希望です 宜しくお願いします (2019年5月18日 4時) (携帯から) (レス) id: c42cace51b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：太陽丸 | 作成日時：2019年3月24日 7時
