続・逆光【橙】４ (ページ38)

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亮side ページ38

リハビリを始められるようになったんに、

やる気を失くしてたマルやったけど…

あれも、一時的なもんやったみたいやな。

筋肉や関節は、使わんと衰えていくって聞くやん。

数日間の無重力生活から帰ってきた宇宙飛行士が、地上に降りた途端、骨折したとかいう話もあるくらいやし。

せやから俺、つい焦ってしもて、

無気力マルに対して、キャンキャン怒ってもうたけど…

リハビリてもんは、周りに強制されてやっても効果半減。

本人が、意欲を持って取り組んでこそ、意味があんねん。

やる気のなかった、あの翌日から、

マルは、一生懸命、リハビリに励んでる。

ちゃんと通院もしてるし、

家でだって、サボらへん。

ただ、マルは真面目な子やから、

がんばりすぎて、体に負担かけへんかって、

過保護長男のよかーまくんは心配してる←

よかーまくんは主演舞台が開演して、リハビリにもあんま付き合えへんから、余計に気になるみたいやな。

しょうちゃんとおーくらも、今月末から舞台やから、稽古稽古の毎日やし、

俺も、豆柴感たっぷりの、仕事できひん可愛すぎる夫のドラマ撮影や番宣でバタバタや←

そんな中で、マルは、

「みんな頑張ってるから、僕も頑張るな！」って、

その努力の甲斐あって、右腕もだいぶ回復してきた。

自分のことを自分でできる。

そういう場面が増えるたび、

マルの笑顔も増えていく。

何より嬉しいことやった。

マルが、人の手を借りんで、日常生活を送れるようになることよりも、

それによって、心穏やかに笑って過ごせるようになることのほうが、

俺らにとって、重要やから。

そんなある日、

マルから、嬉しいお願い事をされたねん。

隆「色々あるんね」

忠「前も思たけど、地味なんばかりやなあ」

明里「福祉用品だからね…」

車椅子のマルを真ん中に、パソコンに群がる年下組＆明里ちゃん。

村上くん仕事でおらんけど、勝手に使ってええよね←

忠「ていうか、デコるんもアリなんかな？ヤス得意やん♡」

章「ラメとか可愛えかも！」

午後から稽古の倉安が、仕事前にお得意の女子トークで、キャッキャッ騒いでる。

何度言うたら分かんねん！

バリアフリーグッズで重要なんは、

安全性！！

デザインなんて、どうでもええ！

あ、今な…

ネットにて歩行器を、検索中やねん。

マルからのお願い事。

それは、

『新しい歩行器がほしい』

やったんよ。