裕side ページ32
明里ちゃんに、左手を押さえつけられ、
おーくらに、パスタを食べさせてもらうという、
何とも、不自然な光景やけど、
マル自身が望んだスタイルなわけやから、
これで、ええんやろうな。
いつも、ラーメンやろうがパスタやろうが、その豪快な食い方に、何の違いもなかったおーくらが、
フォークにパスタを絡め、丁寧にまとめている。
しかも、その下にはスプーンを添えて、マルの口に差し出す。
これもまた、おーくららしくない。
けど、意味は考えんでも分かる。
万が一溢しても、受け止められるように、やんな。
やりすぎな気もするけど、
今のマルが、安心して食事するためには、
このくらいの対策は、必要なんやろうな、とも思える。
人の心ん中て、ほんま繊細で、
色んな形の石ころを積み上げていく、そんな危なっかしい作業が、死ぬまで行われているようなもんやと思う。
今、マルの中で建てられていた塔は、
きっと、歪で不安定な形の石ころばかりが、
どうにかバランスとりながら、積み上がっていたんやろう。
そんなん、最近の出来事を思い返すだけでも、理解できる。
旅行先で起きた、SAKURAによる連れ去り。
カンキン。
その間に受けていた、ゴウモンまがいの仕打ち。
余儀なくされた、寝たきり入院生活。
ストレスや不安も、並大抵やなかったやろうし、
更には、葡萄やら苺が来たりして、
ここでもまた、嫌な思いをしてもうた…。
傷だらけで、歪な石ころが、
何の修復もされへんまま、
積み重なり続けて、今に至るわけや。
昨日、マルがあんな混乱したんも、
バナナジュースがこぼれ、コップが割れたっていう、些細なきっかけが、
振動となって、
弱々しくも維持されてきた塔が、
崩れてしもたからなんかなって、思ってん。
マルに供給される石ころの、ひとつひとつが、
安定した形のものであれば、
おのずと、その塔の強度は増す。
ちょっとした刺激や揺れに、動じることはなくなる。
身も心も弱って、
自分の在り方、存在価値、その答えが決められへんでいる、今のマルにとって、
石ころの形は、周囲の言葉や態度が、良くも悪くもメチャクチャ影響してると思う。
せやから、愛情の結果やとしても、
昨日のヒナみたいに、更なる振動を与えることにもなりかねへん。
慎重すぎるくらい、気を付けてやらな…
崩れてしもた塔が、
しっかり、建て直されるまで。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 112人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「関ジャニ∞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：太陽丸 | 作成日時：2018年9月9日 8時
