続・逆光【橙】４ (ページ19)

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章大side ページ19

退院祝いのパーティも、

後味悪いもんになってしもたなあ。

そして、あんな重い雰囲気の中におった、

とんでもなく、おちゃらけた姿の僕←

タイミング見つけて、メイクを落としに抜け出せるまで、

違和感ありすぎて、いづらかったわあ…←

そんなこんなで、無事に安田章大に戻った時、

信ちゃんに、今夜泊まってくれへんかって頼まれた。

明日、朝早くからの仕事があるからって、

午前オフの僕と亮に、マルを見ててほしいとのことやった。

翌朝早くに来るんなら、確かに泊まった方が手間かからんもんな。

それに…

信ちゃんも、悪意がないとはいえ、あんなことを言った手前、

何となく、まだ顔を合わせづらいってのもあるんやろうな。

そんなわけで、村上宅に一晩お世話になったヤンマー。

今ちょうど、遅い朝食を終えたとこ。

昨日の残りがたくさんあったから、助かったわ～。

たっちょんはやっぱ料理上手やねえ♡

亮「しょうちゃん、まる見てきてー」

食後の牛乳を飲みながら、落ち着かへん様子でリビングを歩き回っていた亮が、

痺れを切らしたように、僕に懇願してきた。

時刻は10時を過ぎてる。

それなんにマル、まだ起きてないんよね…。

昨夜、ヨコちょが呼び出し用のブザーを、枕元に置いといてくれたらしいんやけど、

未だに、その音は聞こえへんねん。

亮も昨日、ちょこっとやけど、マルに怒鳴りつけてもうたから…

自分の姿が、刺激になってしまうんやないかって、不安がってるんやろう。

見に行きたくてたまらん気持ちが、眉毛の傾斜具合によう現れてる←

章「おん、了解～」

水分、全然摂らんで寝てしもたらしいから、

ペットボトルのお茶と…

ストローも持ってったほうがええね。

またこぼしたらかわいそうやし。

章「あ、チーちゃん♡」

部屋を出る直前、くすぐったく柔らかな感触を足に感じて、

反射的に顔が緩む。

チーちゃんも心配してるん？

飼い主譲りで、オカン肌や。

そんな頼もしい猫ちゃんを連れて、信ちゃんの部屋に向かった僕。

そして、そっとドアを開けると、

まだ薄暗いその部屋の空気は、どことなく湿っぽく感じた。

一晩で流れた、マルの汗のせいか、

涙のせいか…。

そんな中、ベッドに倒れたマルは、相変わらず寝息を…

いや…

唸りを漏らしていた。

マル、

目覚めな、ブザーも押せへんもんな…。

悪夢の中、ずっと一人でうなされてたん？

ごめんなあ。

もっと早よ来て、そばにおったら、よかった…。